spect1975のブログ

門前薬局で長期勤務歴のある薬剤師です。主には皮膚科関連に強みを持っています

若者でもなりうる?知らないと怖い白内障と緑内障

No.14 白内障緑内障の治療ガイダンス

目次

  1. 白内障と緑内障はどう違うの?
  2. 白内障ってそもそもどういうものなの?
  3. 白内障の原因は主に何?
  4. 白内障になったらどんな症状が出るの?
  5. 白内障はどうしたら予防や改善ができるの?
  6. 緑内障はとても怖い眼疾患だと聞くけど?
  7. 緑内障は飲んではいけない薬がある?
  8. 緑内障にはどんな予防や治療法はあるの?
  9. 白内障と緑内障についてのまとめ!

 

1. 白内障緑内障はどう違うの?

目の病気と聞くと、多くの人が白内障緑内障を思い浮かべるかもしれません。疾病名に色がついているため、関連性を感じる方もいるかもしれませんが、実際にはこれらは全く異なる疾患です。

白内障は、文字通り目が白く濁ってぼやける疾患です。通常、透明であるべき水晶体が混濁し、視界が曇り、ぼやけたり、色が失われたりします。一方、緑内障は、視神経や眼圧の異常によって引き起こされ、視野が徐々に狭くなる疾患です。これにより、視野の周囲が見えにくくなります。

両疾患とも日本における失明の主要な原因の一つですが、失明率が高いというわけではありません。適切な管理や治療を行えば、多くの場合、視力を維持することができます。では、それぞれの特徴を理解して、症状が出た時に適切に対処できるようにしましょう。

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2. 白内障ってそもそもどういうものなの?

白内障は、目の中でピントを合わせる役割を果たす水晶体が濁る病状です。この水晶体は、主にクリスタリンというタンパク質で構成されており、このタンパク質の性質が加齢やその他の要因によって変化することで、透明度が失われます。

この状態を理解するのに、メガネのレンズに例えると分かりやすいでしょう。新品のメガネのレンズはクリアで、物が鮮明に見えます。しかし、時間が経つにつれてレンズに細かい傷がついたり、塗装が剥がれたりして、徐々にぼやけて見えるようになります。白内障も同様に、水晶体が濁ることで、見える世界がぼやけたり、光が散乱して眩しく感じたりします。

重要なのは、この濁りが進行すると、日常生活においても見えにくさを感じるようになり、読書や運転といった活動が困難になることもあるという点です。幸いなことに、白内障は手術によって水晶体を置換することで、視力を回復させることができます。

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3. 白内障の原因は主に何?

白内障の最も一般的な原因は加齢です。 高齢になるにつれて、ほとんどの人が何らかの形で白内障の発症リスクに直面します。実際に、発症率は50代で約50%、80代ではほぼ100%に達すると言われています。自分のおじいちゃんやおばあちゃんの黒目部分がなんか白って見えると感じたら、すでに白内障がかなり進行していると見て良いので早めの受診を勧めてくださいね。

しかし、加齢だけが原因ではありません。 近年、若年層でも白内障が増加しています。これは、長時間のスマートフォンやパソコンの使用による光の露出、紫外線への過度の露出、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの疾患の合併症から発症するケースがあります。特にアトピー性皮膚炎の場合、使用されるステロイド薬が原因となることが多いですが、ステロイドを使用していなくても白内障を発症することはあります。

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4. 白内障になったらどんな症状が出るの?

白内障が進行すると、日常生活に支障をきたすさまざまな症状が現れ始めます。もし次のような症状に気づいたら、早めに眼科医の診察を受けることが重要です。

  • 視界がかすんで見える:最も一般的な症状で、水晶体が濁ることで、物がぼやけて見えます。このぼやけは、最初は軽微かもしれませんが、時間と共に悪化することがあります。
  • 光が眩しく感じる:水晶体の濁りが光の散乱を引き起こすため、特に太陽光や夜間の車のヘッドライトが異常に眩しく感じられることがあります。この症状は、特に運転中に危険を伴います。
  • 視力が落ちたように感じる:白内障は初期段階では感じられず、病状が進行するにつれて明らかな視力の低下を感じるようになります。これは水晶体の濁りが視界の中心部に影響を及ぼし始めるためです。
  • 物が二重、三重に見える:水晶体の濁っている部位といない部位が光を異なる方法で屈折させるため、一つの物体が複数に見える複視が発生します。この現象は、一方の目を閉じても改善されないことが特徴です。
  • 色の見え方が変わる:進行する白内障は、色の知覚に影響を及ぼすことがあり、色がより暗く、または黄色がかって見えるようになる場合があります。
  • 「ハロー」現象:光源の周りに光の輪が見える「ハロー」現象や光の尾が見えることがあります。

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5. 白内障はどうしたら予防や改善ができるの?

加齢が主な原因であるため、白内障を完全に防ぐことは難しいですが、その発症を遅らせるか、進行を緩やかにするための対策は可能です。以下は、白内障の予防と進行の遅延に役立つ方法です。

【予防法】

  • 健康状態の管理:糖尿病重度のアトピー性皮膚炎などは白内障のリスクを高めます。これらの状態を適切に管理することが重要です。
  • 紫外線(UV)保護:目への紫外線の曝露は白内障のリスクを高めることが知られています。UVカットが施されたサングラスを着用することで、このリスクを減らすことができます。
  • 抗酸化栄養素の摂取:ビタミンCビタミンEなどの抗酸化物質は、白内障の予防に有効かもしれません。これらは果物や野菜、全粒穀物、ナッツに豊富に含まれています。
  • ピレノキシン点眼液:一部の点眼薬は白内障の進行を遅らせる効果があるとされていますが、治療薬ではなく、予防または進行の遅延に寄与するものです。

【治療法】

白内障の最も効果的な治療法は外科手術(水晶体摘出術)です。この手術は進歩が著しく、一昔前と比べても時間も安全性もかなり改善されています。

  • 時間と手順:手術は10〜15分程度で終了し、点眼麻酔により痛みはほとんどありません。手順としては、角膜を微小切開し、濁った水晶体を吸引後、人工の眼内レンズを挿入します。
  • 回復期間:多くの場合、患者は手術直後から日常生活に戻ることができます。ただし、医師の指示に従って、数週間は重いものを持つなどの激しい活動を避ける必要があります。
  • 費用:保険適用内で、1割負担の場合15,000〜20,000円、3割負担の場合45,000〜60,000円程度ですが、使用する眼内レンズの種類によって異なる場合があります。

白内障は避けられないかもしれませんが、これらの予防策と早期治療により、その影響を最小限に抑え、良好な視力を長く維持することが可能です。

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6. 緑内障はとても怖い眼疾患だと聞くけど?

緑内障は、視神経の損傷により視野が徐々に狭くなっていく病気であり、白内障ほどではないですが多くの人が患っています。特に40歳以上では5%、50歳以上では10%以上の人が緑内障になると言われており、日本では失明の主要な原因となっています。この事実が、緑内障が持つ「怖い」というイメージの根底にあります。

【怖いと思われる原因】

  1. 失明のリスク: 緑内障は治療を怠ると最終的に失明に至る可能性があります。現在、日本で失明原因の第一位を占めているのはこの病気です。ただし医療の発達により、その絶対数自体は多くありません。
  2. 早期発見が難しい:定期的な眼科検診を受けない限り、早期に発見するのが難しい病気です。多くの人が症状に気づいた時には、既に病気が進行していることがあります。
  3. 自覚症状が少ない:緑内障は診断を受けても中期までは、自覚症状が少ないです。そのため、治療を途中で辞めてしまうことが多く、無自覚のまま放置して視神経の障害などは進行していきます。

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7. 緑内障には飲んではいけない薬がある?

市販の風邪薬や病院から処方された薬の説明書に、「緑内障の方は服用を控えてください」や「医師や薬剤師にご相談ください」といった注意書きがあることに気づいたことはありませんか?これは、特定の緑内障を持つ人が避けるべき薬が存在するためです。

緑内障にはいくつかのタイプがありますが、「閉塞隅角緑内障を持っている人が特に注意すべきです。このタイプの緑内障を持つ人は、抗コリン作用を持つ薬を避ける必要があるため、どのタイプの緑内障を持っているかを事前に把握しておく必要があります。これは、眼科医に尋ねることで簡単に知ることができます。また、覚えるのが難しい場合は、緑内障連絡カード」を持つか、お薬手帳に記入してもらい常に携帯することが推奨されます。

緑内障は大きく開放隅角緑内障閉塞隅角緑内障の2つに分類されます。目の内部には房水という液体があり、これが眼の組織に栄養を供給したり、目の硬さ(眼圧)を調整しています。この房水の排出口が隅角で、この部分が開いているか閉じているかによって、緑内障のタイプが決まります。

  • 開放隅角緑内障隅角にあるフィルター機能を持つ線維柱帯が、何らかの理由で目詰まりを起こし、房水の排出がうまくいかず、長期に渡り視神経が圧迫され徐々に傷害が進行します。開放隅角緑内障には、眼圧が高い状態にある「原発開放隅角緑内障」、眼圧が正常範囲である「正常眼圧緑内障」があります。驚くことに、日本における緑内障の約7割以上が正常眼圧緑内障です。緑内障といえば「眼圧が高い」というイメージが強いですが、これは意外な事実でしょう。
  • 閉塞隅角緑内障文字通り、房水の排水口である隅角が閉じてしまい、狭くなるために房水が滞り、眼圧が上昇して視神経に損傷を与えます。さらに、急性緑内障発作では抗コリン薬の服用などが原因で、眼圧が急激に上昇することがあり、これがひどい頭痛や吐き気、さらには失明のリスクを高める可能性があります。
  • 他に稀ですが小児緑内障、他疾患や薬などが原因である続発緑内障などがあります。

眼圧が正常であるのに緑内障であることとは逆に、眼圧が高いにもかかわらず緑内障でない場合もあり高眼圧症と呼びます。視神経などは障害を受けていないですが、そのままでいると緑内障のリスクとなることもあり治療が推奨されるケースが多いです。

【服用を避けるべき薬】

風邪薬、胃薬、アレルギー薬など、さまざまな種類がありますが、具体的には薬の注意書きに記載されています。緑内障を持っている方は、服用前に必ず薬の説明書を確認し、必要であれば医師や薬剤師に相談してください。

緑内障と抗コリン作用のある薬についての重要な補足

先に述べたように、「閉塞隅角緑内障」に対しては、抗コリン作用のある薬の使用に特に注意が必要です。しかし、正確には、「開放隅角緑内障の患者さんの中にも、同様の注意が必要な場合があります。

緑内障の隅角の開き具合にはグレードが存在し、これは隅角がどの程度開いているかを示しています。隅角が広く開いている状態をグレード4とし、最も狭い、すなわち閉塞隅角緑内障に近い状態をグレード1と分類しています。グレード3から4に該当する場合は、一般的に抗コリン作用のある薬に関して特に心配する必要はありませんが、グレード1から2の場合は、急性発作を引き起こす可能性が否定できないため、注意が必要です。

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8. 緑内障にはどんな予防や治療法はあるの?

緑内障は視神経に障害を与える眼疾患であり、一度障害を受けた神経は元に戻りません。しかし、早期発見と適切な治療により、神経の障害が軽度に済み、失明の確率を大幅に減少させることができます。

治療方法としては薬物療法などいくつかありますが、エビデンス上で最も確実な方法と言えるのが、眼圧を下げることです。これは正常眼圧緑内障でも同じことが言えます。

薬物療法

「開放隅角緑内障」においては、第一選択の治療法となっています。まず神経に障害を与えないように眼圧を下げる、つまり房水をコントロールする目的が主になります。

  • プロスタグランジン製剤:キサラタン(ラタノプロスト)、ルミガン(ビマトプロスト)など
    房水の排出促進により眼圧を下げます。現状最も優れた眼圧降下作用や、重篤な副作用の少なさからも第一選択薬とされています。副作用として充血や、メラニン色素活性作用から、虹彩や目周囲の色素沈着に注意が要ります。
  • β遮断薬:チモプトール(チモロール)、ミケラン(カルテオロール)など
    プロスタグランジン製剤に次いで、強い房水排出促進があります。また心疾患喘息の懸念もあるため、第一選択薬ではあるものの使用者を選びます。
  • 炭酸脱水酵素阻害薬:トルソプト(ドルゾラミド)、アゾプト(プリンゾラミド)など
    房水の産生を抑制することで眼圧を下げる作用があり、効果が緩やかなため第二選択薬として用いられます。目の刺激感や充血が代表的な副作用です。
  • Rhoキナーゼ阻害薬:グラナテック(リパスジル)
    房水のフィルタ役である線維柱帯と、静脈への排水口となるシュレム管に関与して房水の排出を促し、第一選択薬が効果ないときに用います。副作用として、およそ7割とかなり高確率で充血が出ます

【塩化ベンザルコニウムが入っていない目薬の選択】
塩化ベンザルコニウム(BAK)は、目薬を細菌やカビなどの汚染から守るために、保存剤として多くの目薬に使用されています。しかし、近年の研究では継続的な使用により目に悪影響を与える可能性があり、特に長期間使用する緑内障のような目薬では、深刻な問題をきたすことがあると考えられています。
BAKは角膜上皮細胞に対して毒性をもっています。角膜は目の表面を覆う膜であり、損傷することで、まぶしく見えたりものが正しく見えなくなる恐れもあります。今まで使用しているもので何ともなければ良いですが、特にドライアイを持っていたりする方は角膜障害を起こしやすいため、BAKの入っていない目薬があればそちらを使用した方が良いでしょう。ラタノプロスト製剤で言うと、ジェネリック品において「ニッテン」や「NP」と付くものがそれに当たります。
※BAKは保存剤としてでなく、界面活性剤として薬物の溶解を助けたり、角膜への薬を浸透しやすくする作用もあります。しかし、緑内障の目薬で言えば、眼圧を下げる作用など効果の面でも特別問題はありません。

⑵レーザー手術
薬物療法で十分効果が得られない場合に検討される治療法です。現在の医療では、とても安全性が高いと言われています。いずれも目の内部構造には影響を及ばさないため、社会復帰までの時間はとても短くて済みます

  1. レーザー虹彩切開術(LPI):レーザーにより虹彩に孔を開け、防水の排出部を作り流れやすくする治療法であり、「閉塞隅角緑内障」の第一選択治療となっています。
    【手術時間】15〜30分程度、経過観察は3〜4週間。
    【合併症】軽微な症状では前房出血、角膜混濁、虹彩炎、重篤なものだと水泡性角膜症(術前検査などにより対策可)。
  2. レーザー線維柱帯形成術(SLT):フィルターの役割である線維柱帯にレーザーを照射し、排水機能を改善させる治療法です。眼圧効果作用は虹彩切開術より低いとされています。
    【手術時間】5〜15分程度。
    【効果持続期間】長期的には徐々に効果が減弱、平均3年程度
    【合併症】前房出血、一時眼圧上昇など比較的軽微で少ない。
  3. レーザー隅角形成術(LGP):レーザーの熱により隅角を拡大し、房水の流れを改善する治療法です。LPIができない方などに適応されます。
    【手術時間】おおよそ15分程度。
    【合併症】一過性眼圧上昇、虹彩炎など。

⑶観血的手術(人体を傷つけ切開することで、直接患部に施しをする手法)

薬物治療やレーザー手術によっても十分改善しない場合や、副作用等などで治療できない場合などに適応になります。

  1. 線維柱帯切除術(トラベクレクトミー):濾過手術の一つであり、白眼部である強膜を切開することでバイパスを作り、防水の排出量を調整するもので、大部分の緑内障の手術の中で最も一般的な手術となっています。
    【手術時間】30〜60分程度。
    【合併症】眼内炎(感染症)、出血、低眼圧など。
  2. 線維柱帯切開術(トラベクロトミー):房水流出路再建術の一つであり、専用器具で目詰まりしたフィルターである線維柱帯を切開することで、房水の流れを改善し眼圧を下げるものです。上記の切除術よりも眼圧を下げる効果は低いですが、合併症のリスクが低いことが特徴です。また、それほど内部にまで影響を及ぼさないため白内障手術を同時に受けることができる利点があります。
    【手術時間】5〜15分程度。
    【合併症】全房出血、一過性眼圧上昇など。

⑷水晶体摘出術(白内障手術)

「閉塞隅角緑内障」は隅角が塞がれていることで、房水がたまり視神経を圧迫し障害を起こすものです。また他の要因として、加齢により水晶体が厚くなることにより、さらに隅角が狭くなり悪化します。そこで白内障手術により薄い人工レンズに交換することで、防水の流れを改善し眼圧を下げることができます。ただし、通常の白内障手術よりも合併症のリスクが高まります。特に急性緑内障の時は合併症が起こりやすいため、信頼できる眼科医のもとで治療を受けた方が良いようです。これも「閉塞隅角緑内障」の治療の第一選択となっています。

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9. 白内障緑内障についてのまとめ!

  • 白内障はレンズ役である水晶体の濁りによるかすみ眼など、緑内障は視神経の障害による視野狭窄であり、全く別物である。
  • 白内障は高年齢ではほぼ高確率で発症する。
  • 緑内障は眼圧が正常なものが最も多い。正常眼圧を含めすべてのタイプの緑内障において、エビデンスでは眼圧を下げることが最も効果が高い。
  • ともに現状では治療する薬は存在しない。進行後は手術などで対応するしかない
  • 手術は白内障では日帰りも可。緑内障ではレーザー治療であれば、大体はすぐに社会復帰ができる。
  • 緑内障による手術では完治はできないため、術後定期検診は必須で、再手術が必要なこともある。
  • 緑内障では飲むと弊害が出る薬が少なからずあり、「閉塞隅角緑内障」と極一部の「開放隅角緑内障」が対象。また各個人それを飲んで良い悪いケースもあるため、緑内障の診断を受けた際の医師への確認は必須

ともに加齢で発症するイメージがありますが、最近では若年層でもなってしまうことが分かってきました。特に若ければ何か症状がないと眼科には行かないでしょう(実際私は少なくても30年は行っていません)。前述通り両方不可逆的な疾患であり予防薬しかなく、早期発見し適切な治療がとても重要になってきます。やっぱり定期的な検診というのはとても大切ですね・・・と自分にも言い聞かせて終わりとします。