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門前薬局で長期勤務歴のある薬剤師です。主には皮膚科関連に強みを持っています

内臓脂肪減少薬「アライ」使用経過報告⑤Last:47日目までおよび現在まで

【方針】「アライ」の効果は、食事から摂取した脂肪の約1/4を抑制し、便として排出することにあります。そのため、脂肪をあまり摂取しない時に服用しても効果は期待できません。したがって、服用は脂肪が多い昼食後と夕食後に限定しました。

また、あまり効果が見られなかっため、最後の10日間ほどは16時間ファスティングも並行して行なっています。

【服用前の腹囲】90.0cm

・1日目(初日服用後日)
体  重:59.9kg
体  脂  肪:25.8%

・28日目(「アライ」を継続することで効果が現れ始める4週間後)
体  重:59.4kg
体  脂  肪:25.5%

・47日目(服用最終日)
体  重:59.5kg
体  脂  肪:25.6%

【服用直後の腹囲】89.8cm

・現在(16時間ファスティングのみ1週間前から再開中)
体  重:59.3kg
体  脂  肪:25.5%
まだしばらくは、16時間ファスティングを続けるつもりです。副作用を考慮すると、アライを飲むよりは断然こちらのほうが楽だと感じます。

 

【服用最終日時点での最終結果】
体  重:-0.4kg
体  脂  肪:-0.2%

【副作用と思われる症状】
脂便と放屁時の油漏れは、不連続的ですがずっと続いていました。特に外出時には常に油漏れの恐怖があり、これが一番キツかったですね。下痢の日も多くあり、肛門付近というより直腸あたりの鈍痛も結構な日にありました。また、少し寝具などにその漏れた油がつくと、いつまでも臭いが残ってしまうのも相当気になりました。ただし、これらの症状は、飲まなくなれば翌日から全くなくなります。

【考察】
結果から見ると、明らかに誤差の範囲内であり、私に対してはほぼ効果はなかったと見て良いでしょう。ちょうど飲み始めた頃に、急に体重と体脂肪率が増えてしまっていたため、その少し前までの平均値が大体47日目の数値くらいでした。やはり作用機序を考慮すると、元々食事において脂肪をそこまで多く摂らない人には効果は薄いのは当然なのかもしれません。私は夕食に脂肪の多い揚げ物などを摂る頻度が高い言え、トータルであると1日脂肪摂取量は平均値より少ないため、効果もほとんど出なかったのだと思われます。もうこれ以上飲んでも無駄だと思い、この辺で中止とします。

副作用に関していれば、下痢をしやすいことと便に油が混じりやすいことを逆手に取るという考えもあります。便秘持ちの人であれば(油漏れは我慢しなくてはいけないですが)より効果が増すのではないかと思います。効果からすると、麻子仁にかなり近いものがあるのではないか?と考えました。

【注意点】
服用に際して一つ注意すべき点があります。それは、脂溶性が高いの薬物を一緒に飲む時です。「アライ」の作用機序を考慮すると、その薬も一緒に一部便として排出されやすくなり、その薬の期待した効果が出ない可能性があります。

実際に私は、マラセチア毛包炎ができたために途中から「イトラコナゾール」という抗真菌剤を併用しました。この薬は食直後でないと吸収が落ちるために、服用時間が同じである「アライ」と同時に服用していました。3週間飲んでもイトラコナゾールの効果がほとんど現れず、医師からもおかしいと言われ倍量に増やしてようやく症状が少し落ち着きました。ただし薬剤師であるならば、上記の作用減弱の可能性をもっと早く気づくべきであり、ここは反省点だと思います。対処として、アライをその期間だけは中止にすべきでした。

【結論】
脂っこいものを常に摂っている方、かつ油漏れにがまんできるのであれば使っても良い。しかも、生活習慣を改善し、それを維持することが前提である。ただし、個人的にはあまり推奨はしません。

 

意外と間違えてしまっている?薬剤師が教える薬の正しい服用法の基本

No.17 薬の適正服用ガイダンス

目次

  1. はじめに〜薬を正しく服用する意義〜
  2. 服用時間の理解
  3. 飲み方のポイント
  4. 特殊な服用方法である薬
  5. 正しい薬の服用法のQ & A
  6. 薬の正しい服用法のまとめ

 

1.はじめに〜薬を正しく服用する意義〜

薬を正しく服用することは、その効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるために非常に重要です。正しい服用法を理解し実践することで、薬の治療効果を最大限に活用することができます。薬によっては指示された飲み方以外では、薬の効果がほとんど発揮されなかったり、逆に薬の効果が強く出過ぎたりなど、様々な弊害が起こる恐れもあります。

・効果の最大化
薬は適切なタイミングで服用することで、体内の吸収率が大きく変わることがあります。例えば、血糖値を下げる薬の中には、食後に服用してもほとんど効果がないものもあります。正しいタイミングで服用しないと、毎日飲んでいるにもかかわらず、期待した効果が現れないこともあります。
・副作用の最小化
薬を誤ったタイミングで服用すると、思わぬ副作用が出る恐れがあります。薬は正しく服用することを前提に作られているため、自己判断での服用は避けましょう。例えば、鎮痛剤など胃に負担がかかるものは特に、空腹時の服用で胃が荒れやすくなったりします。
・適正治療の効率化
医師は正しく薬を飲んでいることを前提に治療方針や薬を設定します。適正な薬の服用により、治療が無駄に長引くことを防ぎ、余計な薬を服用する必要がなくなります。治療が効率的に進むことで、患者の負担も軽減されます。

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2.服用時間の理解

意外と服用時間を正しく理解していない方が少なくありません。薬を毎日しっかり飲んでいるのに効き目が鈍い場合、例えば食前服用の薬を食事の直前に飲んでいたりすることがあります。薬の効果や副作用を考慮し、できる限り正しい服用時間を守って服用していただきたいです。ただし、いつ飲んでも良い薬もあり、同じ服用時間でもその意義が全く異なる場合もあります。

(1)起床時:起きてすぐに薬を飲むことです。骨粗しょう症の一部の薬などが該当します。
【服用意義】
・胃の中が空の状態で他の影響を受けない
・再度横になり、飲んだ薬が途中で止まることを防ぐ

(2)食前:食事のおおよそ30分前を指します。5〜10分程度の前後は許容範囲ですが、目安は30分前です。胃の中で薬と食事が混ざる状態を避けるためであり、30分以内という指示ではありません。
【服用意義】
・食事の影響を受けないようにする
 ・効果が増強または減弱するのを防ぐ
 ・副作用が増強するのを防ぐ
・食事前に飲むことで、食事の時間や食後に胃腸を活発にさせる

(3)食後:食後30分以内のことを指します。いつ飲んでもいいですが、忘れないように食後と指示されている薬も多くあります。
【服用意義】
・食べ物により胃の刺激を軽減させる
・食事に含まれる脂肪により吸収されやすくする
・習慣化しやすく、飲み忘れを減らしやすい

(4)食間:食事と食事の間を指し、およそ食事前後2時間以上を指します。食事の最中と混同されることがありますが、全く異なります。
【服用意義】
・食事の影響を最小限にする

(5)食直前・食直後:おおよそ食事前から5分以内、食事後から5分以内を指します。
【服用意義】
・薬の効果を食事の時間と合わせて最大限に引き出す
・それ以外の服用時間では効果がほぼ出ず、副作用のリスクだけが残る

※添付文書とは異なる服用時間が効果的な例
PPIタケプロン(ランソプラゾール)、ネキシウム(エソメプラゾール)など
PPIは胃酸分泌を強力に抑える胃薬です。通常1日1回と記載されており、添付文書上の服用時間の指定はなく、処方せんでは大体食後指示です。しかし、胃酸分泌のピークとPPI血中濃度のピークを合わせることで、最もPPIの効果を引き出すことができるため、食事の30分から60分前の服用が効果的となります。

チラーヂンSレボチロキシン
レボチロキシン甲状腺ホルモンを補うための薬です。こちらも1日1回で指定はなく、日本では食後服用が一般的です。しかし、レボチロキシンは食事と同時に摂取すると吸収がかなり阻害されます。食事の内容によって吸収率が変わるため、単独で他の影響を受けない寝る前などが良いとされています。

これらはほんの一例に過ぎません。まだ多くの薬にはこのような事例があります。ただし、医師は処方せんの指示通りに服用することを前提に治療や薬の選択を行っています。服用方法を変更したい場合は、必ず医師と相談して決めましょう。

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3.飲み方のポイント

(1)コップ一杯の水で飲む
大体の薬は水に溶けやすいように設計されています。そのため、唾液だけで飲んだり少量の水で飲むと、薬が溶けにくくなり吸収が遅れたり、溶けるのが不十分になることがあります。また、消化管の途中で引っかかり、潰瘍を引き起こすことを防止する役割もあります。

(2)避けるべき飲料水
濃いコーヒーやお茶(高濃度のカテキンが含まれるため)、牛乳、アルコール、グレープフルーツジュースなどは特に影響が出やすいです。また、ミネラルウォーターでも硬水にはミネラルが多く含まれ、薬の吸収に影響が出やすい場合があります。高脂肪の飲料も薬の吸収に影響を与えることがあります。

(3)各剤型のポイント
a.カプセル剤
カプセルはその形状と大きさにより、飲みづらい剤型の一つです。まず、口に水などを含んで潤すことがポイントです。また、軽く下を向いて飲むことをお勧めします。上向きだと、気道が空き誤嚥の可能性があり、かつカプセルは水に浮くため飲みにくくなります。顎を少し引いてゴックンと飲むと、意外と飲みやすくなります。

b.散剤
①少量の水に溶かす方法
特にドライシロップや溶けやすい粉薬の場合におすすめです。しっかり溶かして、口内に残らないように残りの水で最後まで飲み切りましょう。
②口内に水を溜めて落とし込む方法
私が一番推奨する方法です。やや上向きで口内に少量の水を溜め、そこに薬を入れてすぐに残りの水で流し込むやり方です。直接薬を入れる方法と比較して、口内に薬が張り付かず、苦味などの風味がかなり軽減される利点があります。
粉薬を直接口の中に入れて飲む方がおられますが、口の中に広がりへばりついてかなり飲みづらいかと思われます。
③補助的なものを使用する方法
オブラートや補助ゼリーなど、市販の製品を利用して飲みやすくする方法です。
c.オブラート
オブラートも、正しい飲み方を知らない方が多いです。正しく飲めば、どんなに苦い粉薬でもスルッと飲み込めます。量が多い時は複数回に分けましょう。コツは、適量の薬を包んだ後に一瞬水につけることです。これをしないと、オブラート自体が口内に張り付いて逆に飲みづらくなります。

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4.特殊な服用法である剤型

(1)舌下錠
舌の下に入れて、口腔粘膜から溶かして吸収されます。かんだり飲み込んだりしてはいけません。主に急いで効果を得たい時、例えば狭心症の薬であるニトロペンがそれに該当します。

(2)徐放錠
薬の成分が徐々に溶け出すように設計されている薬です。薬の効果を持続させ、飲む回数を減らしたり、毒性を減らすこともできます。徐放剤も噛み砕いたりすることで、体内に有効成分が急激に溶け込み、効きすぎたり副作用が多く出たりなど弊害がでる恐れもあります。徐放錠の中ででも、薬品名の最後に徐放錠とついていない場合があります。

(3)チュアブル錠
口内で噛み砕いて服用する錠剤をいいます。噛み砕くことで、錠剤が苦手な小児にも飲みやすく設計されています。また水なしでも飲めたり、時間はややかかりますが口内で溶かして飲んでも良いとされています。そのまま飲み込んでも消化管で溶けはしますが、吸収が遅れる可能性があるためしっかり噛み砕くことが推奨されます。

(4)口内崩壊錠(OD、D、RM錠)
口内で水がない状態でも、素早く溶けて飲むことのできるタイプの錠剤です。普通の錠剤やカプセル剤を飲み込むことが苦手な方や、ひどい頭痛や吐き気などで水が飲み込めない方に特に推奨されます。注意点として、誤嚥や薬が途中で止まるのを防ぐため、寝たままの状態で水なしでは飲めません。また溶けやすいため、開封後長時間放置したり、濡れた手で触らないようにしましょう。

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5.正しい薬の服用法のQ & A

Q1.外出時に薬を飲みたい場合はどうするの?
A1.外で薬を飲む場合は、まず水を手に入れることを最優先してください。どうしても水が手に入らない場合は、唾液をある程度溜めて薬を飲むこともできます。ただし、多めの水で飲まなくてはいけないものは服用を避け、舌の上で溶かさないように注意しましょう。また、特定の薬は水なしでの服用を推奨しないものもあるため、事前に薬剤師に相談しておくことが大切です。外出時には、小さなペットボトルなどの持ち歩き用の水を準備しておくと安心です。

Q2.薬がどうしても飲めない。噛み砕いて潰したり、カプセルから外して飲んでいい?
A2.基本的にはそのままの状態で飲むのが理想です。砕いたりすることで、吸収しにくくなり効果に問題が出たり、胃が荒れやすくなる他、大きな危険性を増すこともあります。まず、薬をもらうときに相談し、自分の飲みやすい剤型に変更してもらいましょう。中には砕いたり脱カプセルしても問題がない薬もあるため、その薬がそれに適しているかを必ず薬剤師に確認しましょう。どうしても無理そうならば、別の類似作用の薬で飲みやすいものもあるかもしれないので、気軽に薬局で相談してください。

Q3.いつも食後服用を忘れてしまう。どうしたらいい?
A3.あらかじめ食卓に出しておくことが理想です。また外食が多い場合は、必ず財布かスマホケースに数回分入れておきましょう。それでも忘れることがあるなら、食後指示の薬であっても、食後以外に飲んでも問題ないものも少なくないため、薬剤師に相談して適切な服用方法を確認しましょう。

Q4.食後には必ずお茶を飲むからそれでどうしても飲みたいんだけど?
A4.できれば水道水や白湯で飲むのが一番です。ただし、お茶はそこまで影響がないため、お茶でなら毎日しっかり飲める、または外出時お茶だけは持ち歩くというならば、それでも良いでしょう。ただし、あまり濃いお茶は「タンニン」という成分が薬に影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。

Q5.漢方薬は出すところによって飲み方が違うんだけど、どれが正しいの?
A5.漢方薬は添付文書上では食前または食間となっており、多くの医療機関ではこのように処方されます。ただし、一部の病院では食後に出されることもあります。漢方薬を空腹時に飲む方が良い理由は、食べ物の影響を受けない方が安定して小腸から吸収されやすいからです。また、胃の中のpHが低い(酸性度が高い)と、吸収が大きくなりすぎて副作用が出やすくなるためです。麻黄や附子が入っている漢方薬以外のものは、副作用のリスクが低いため、多少の吸収の変動は問題ないため、服用間隔さえ開ければ気付いた時の服用で大丈夫です。
※詳しくは、同ブログのNo01漢方薬は食前か食間に飲むもの?漢方のホントウが分かる素朴なギモンを参照してください。

Q6.1日2回や3回飲む薬だと、どうしても忘れてしまうけどどうしたら良い?
A6.1日2回の薬は6時間以上、3回の薬は4時間以上間隔をあけるのが目安となります。ただし、本当に中には異なるものもあるため、自分が飲む薬については確認をとっておくことが重要です。また、最近は同じ成分でも、効果が長く1日1回で済む薬も出ているため、医師や薬剤師と相談して変えてもらっても良いでしょう。

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6.薬の正しい服用法のまとめ

  • 薬を正しく服用することは、効果を適正化し、副作用を出来る限り抑え、かつ治療を効率化するためにとても重要なことである。
  • 薬の服用時間は、起床時なら起床したすぐ後、食前なら食事の約30分前、食後なら食事の30分以内、食間なら食事と食事の間で約2時間前後あけて、食直前および食直後は各々食事のおおよそ5分前および5分後、を意味している。
  • 薬は食後服用を指示されることがほとんどであるが、効果や副作用などの問題でなく、飲み忘れを防ぐためで忘れたら気付いた時に飲んでも良い薬は意外と多い。
  • 薬をコップ一杯の水で飲むことにはしっかりとした意義があり、しっかり溶かし速やかに吸収させたり、途中で引っ掛かるのを防ぐためである。
  • 飲む飲料水は理想は水道水や白湯であり、お茶でも可能である。ただし、アルコール類、グレープフルーツジュース、牛乳、濃いお茶やコーヒーは影響を受けやすいので避けることが推奨される。
  • 飲みにくい剤型の飲み方として、カプセル剤は口を少し湿らせてから飲むときはあごを少し引いて飲むこと。粉薬は口に少し水を溜め、その上に薬を入れてからしっかり水で流し込むこと。また、オブラートや服用補助ゼリーも有効。オブラートは包んだ後、一瞬水につけて体と飲みやすくなる。
  • 特殊剤型の薬もいくつかあり、舌下錠は舌の下で溶かし切り、飲み込まないこと。徐放錠は、効果の持続と副作用軽減させるため、噛んだり砕いて飲まないこと。チュアブル錠は錠剤が飲み込めない小児や高齢者に適しており、しっかり噛み砕いてから飲み込むこと。口腔内崩壊錠は、口の中で溶かし水なしでも飲むことができるが、水なしの場合は寝て服用はしないこと。

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急増している梅毒。正しい知識と行動で感性拡大を防ごう!

No.16 梅毒治療ガイダンス

目次

  1. はじめに 〜梅毒とは〜
  2. 梅毒の感染経路
  3. 梅毒の進行と症状
  4. 梅毒の検査と診断方法
  5. 梅毒の治療法
  6. 梅毒の予防策
  7. 梅毒に関するQ & A
  8. まとめ

1.はじめに

(1)梅毒とはどういうものなのか
梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因で発症する感染症です。主に性行為を通じて感染し、世界中で多くの症例が見られます。口内や性器に初期症状として痛みのない潰瘍ができることが多いですが、全身にさまざまな症状を引き起こす可能性があります。適切な治療を受けなければ、病気は進行し、二期梅毒では皮膚に発疹が出るほか、発熱や疲労感が見られます。さらに進行すると、心血管や脊髄、他の臓器にも深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

(2)梅毒感染者の現状
近年、日本における梅毒感染者は急増しています。特に、2010年代以降に梅毒の報告者が急増し、2022年には今までにない感染者数が報告されました。梅毒の感染拡大には、検査体制の強化、性的行動の変化、社会的な要因などが影響していると考えられます​

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2.梅毒の感染経路

(1)性行為による感染
梅毒の主に性的な接触を通じて感染し、以下のような行為がリスクを高めます。
陰茎や膣および肛門、口腔を介した性行為
・性行為の際に、コンドームを使用しないまたは正しく使用しなかった場合
・感染者の病変部位に直接接触することで、原因の細菌が粘膜や皮膚の小さな傷から体内に侵入し感染が広がってしまいます。

(2)母子感染(垂直感染)
梅毒は妊娠中の母親から胎児へと感染することがあります。これは「先天梅毒」と呼ばれ、以下のようなリスクがあります。
胎盤を通じて母親から胎児への細菌感染
・先天梅毒により、流産や早産、死産のリスクが増加
・産まれてきた子に神経や骨などの発達異常を生じる可能性

妊婦が梅毒に感染した場合でも、早めに適切な治療を受けることで胎児への感染リスクを大幅に減らすことができます。また、梅毒は接触感染であるため、赤ちゃんへのキスでも感染することがありますが、母乳からの感染は通常ありません。

(3)その他の感染
稀にではありますが、感染者の血液や体液、または病変部位に直接接触することで感染する可能性があります。

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3.梅毒の進行と症状

(1)第1期(初期梅毒)
梅毒に感染してからおよそ3週間から3ヶ月の期間に現れます。性器、肛門、口唇などの感染部位に、痛みのない硬く浅い潰瘍である硬性下疳が形成されます。この潰瘍は数週間程度で自然に治癒しますが、治療を受けない限り病原菌は体内に残り続けます。

(2)第2期(二次梅毒)
原因菌が体内で増殖し、皮膚のみに限らずあらゆる臓器を侵します。病変は多種にわたり、皮膚症状がない場合もあり、以下のような症状を現します:
・バラ疹:手のひらや足の裏を含む全身にできる赤い斑点
・脱毛斑:後頭部からサイドにかけて広範囲に、もしくは小さな斑状の脱毛
・扁平コンジローマ:陰部や肛門周囲に後発する、扁平状のイボ
これらの皮膚症状は他の皮膚疾患と紛らわしいため、診断には注意が必要です。さらに、精神神経症状、胃潰瘍、腎炎など、さまざまな臓器に病変が生じることがあります。

(3)第3期(晩期梅毒)
治療を受けずに放置すると、感染から数年後に現れます。この段階では他者への感染力はほぼなくなりますが、以下のような重篤な症状が現れます:
・心血管症状:大動脈瘤などの心血管系の症状
・ゴム腫:皮膚や骨、内臓にできる硬い結節
・進行麻痺:脳や脊髄に影響を及ぼし、認知症や麻痺を引き起こす

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4.梅毒の検査と診断方法

梅毒の診断には、主に梅毒抗体検査(梅毒トレポネーマ抗体検査とRPR検査)が用いられます。
(1)梅毒トレポネーマ抗体検査
・陽性の場合:現在梅毒に感染しているか、過去に感染歴があることを示します
・陰性の場合:梅毒に感染していないことが多いですが、感染初期の潜伏期の可能性もあるため、1ヶ月後に再検査を受けるとより確実です

(2)RPR検査(非特異的検査)
・陽性の場合:現在梅毒に感染中であることを示します
・陰性の場合:感染していないことを示すことも多いですが、感染初期であると偽陰性(本当は感染しているのに陰性と出てしまうこと)となることもあります

【同時検査の重要性】
検査精度を向上させるために、梅毒トレポネーマ抗体検査とRPR検査の両方を同時に行うことが重要です。手作業による測定ではなく、専用機器を用いた自動化法により、測定誤差を最小限に抑えた診断が強く推奨されます。

(3)PCR検査
本来感染症のの診断には、PCR検査が最も適切とされていますが、梅毒PCRの場合は技師の熟練度が高くないと検出感度が低くなることがあります。また、現時点では保険適用外であるため、PCR検査は補助的な手段として考えられます。

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5.梅毒の治療法

(1)治療薬
【第一選択薬】ペニシリン系薬剤のどちらか一つを選択
・ベンジルペニシルベンザリン筋肉注射(以下BCGベンザリン注)
 ・早期梅毒(第1および2期):1回のみの筋注
 ・後期梅毒:週1回、計3回の筋注
・アモキシシリン
 ・1回500mg(250mgを2錠またはカプセル)を1日3回、28日間服用

第二選択薬】アレルギーでペニシリン系薬剤が使用できない場合
・ミノサイクリン
 ・1回100mgを1日2回、28日間服用
 ・胎児に一過性の骨発育不全などの弊害が出る恐れがあるため、妊婦には通常使用しない

(2)治療時の注意点
・ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応
 ・治療開始直後に、発熱や頭痛、皮疹などの症状が見られる場合がある
 ・反応はほぼ24時間で収まるため、薬はそのまま継続
 ・症状がひどい場合は、対症療法として解熱鎮痛剤を使用
・ニコラウ症候群
 ・BCGベンザリン注使用後、患部に激しい痛みや腫れが見られる場合がある
 ・正しい部位や深さで筋注を行えば、ほとんどの場合予防可能

(3)治療の効果判定
・RPRと梅毒トレポネーマ抗体の同時測定を約4週間ごとに実施
・測定は診断時と同様に、自動化法が望ましい

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6.梅毒の予防策

現状、梅毒に対するワクチンは存在しないため、別の予防手段を取る必要があります。
(1)性的接触時の注意点

・コンドームの使用:性交時の使用により、大幅に感染を減らせます。ただし、感染部位を覆い尽くせない場合は感染リスクがあるため、完全な予防策ではありません
・定期的な性感染症検査:複数の性的パートナーがいる場合や、新しいパートナーとの関係が始まる前などに、定期的な検査が重要になります

(2)梅毒の早期発見と治療
・早期発見の重要性:梅毒は初期段階で発見し治療することで、症状の進行を防ぎ、他者への感染リスクを低減させることができます
・症状のチェック:梅毒の初期症状として、性器や口、直腸に痛みのない潰瘍(硬性下疳)が現れることがあります。このような症状が見られた場合、早急に医師の診察を受けることが重要です。

(3)性的パートナーへの通知と治療
・パートナー通知:梅毒に感染した場合、性的パートナーにも通知し、検査と治療を受けてもらうことが重要です。これにより、感染の連鎖を断ち切ることができます
・共に治療を受ける:自分だけでなく、性的パートナーも同時に治療を受けることで、再感染を防止し、健康な関係を維持することができます

(4)公的な窓口での相談
梅毒は性感染症という側面から、家族や知人、医療機関へ気安く相談はし難いものです。そのような方に、プライバシーが守られた相談窓口が多数あります。
・保健所:全国の保健所で、性感染症に関する相談を無料で受けられます
エイズ相談センターエイズだけでなく、その他の性感染症も相談が受けられます
・性感染相談ダイヤル:専門のカウンセラーが対応します
・オンライン相談サービスNPO法人などもあります

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7. 梅毒に関するQ & A

Q1.梅毒は完治しない病気なの?
A1.そんなことはありません。主に抗生物質により、適切な治療を受ければ完全に治癒することはできます。

Q2.症状がなければ放置しても大丈夫?
A2.いいえ。感染している場合、原因菌は体内に残り続け、数年後には重大な合併症を引き起こす恐れがあります。少しでも感染の可能性がある場合は、早めに医師の診察を受けることが推奨されます。

Q3.検査は難しいの?
A3.今はとても簡単に抗体検査などが受けられます。地域によっては匿名、無料で受けられる保健所もあります。

Q4.梅毒は昔の病気なんでしょう?
A4.一時期は減少しましたが、特に若年層や性行動の多様化により、近年再び増加傾向にあります。

Q5.梅毒は同性間でしか感染しないんじゃないの?
A5.男性間の性的接触による感染が多いとはされていますが、異性間でも感染のリスクは存在します。

Q6.梅毒は一度治療を受けて治癒すれば、再感染しない?
A6.一度感染すると梅毒トレポネーマに対する抗体ができますが、抗体は十分に持続しないため、再感染する可能性があります。

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8.まとめ

  • 梅毒とは、梅毒トレポネーマという細菌による性感染症である。
  • 感染者数は、一時期減少も2010年代から増え始め、近年さらに増加している。
  • 感染経路は主に性行為であり、母子感染もあり母子共に悪影響を及ぼす。
  • 検査は医療機関で簡単に受けられる。ただし、感染当初は陰性となるおそれがあるため、再検査が推奨される。
  • 治療は主にペニシリン系抗生剤で行い、適切な治療で完全に治癒する。
  • 一度感染後治癒しても、再感染のリスクは存在する。
  • コンドームによる予防はとても有効だが、完全予防ではないため注意が必要。
  • 性的パートナーがいる場合、共に治療を受けない再感染の可能性が出る。
  • 安全な公的相談窓口は多く存在するため、安心して早めに相談すべきである。

今年大流行の手足口病。これを機に正しい知識を身につけよう!

No.15手足口病について

目次

  1. 手足口病とはこんな病気
  2. 手足口病の原因や感染経路
  3. 手足口病による症状
  4. 手足口病の治療法
  5. 手足口病の予防や対策
  6. 類似疾患であるヘルパンギーナとの違い
  7. 手足口病のQ & A
  8. まとめ

1.手足口病とはこんな病気

【定義】手足口病とは、その名称が示す通り、口の中や手足などに水疱状の湿疹が主な症状である、ウイルスが原因で起こる感染症をいいます。

【疫学】主に夏に流行し、7月下旬にピークを迎えます。5歳以下の乳幼児が90%と大多数を占めます。学童以上になると、大半はすでにウイルス感染や不顕性感染(感染はしたが症状が出ない感染)を受けている場合が多いため、成人での発症はほとんどありません。

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2.手足口病の原因や感染経路

手足口病エンテロウイルス属のウイルスによって引き起こされ、主に接触感染や飛沫感染などでうつります。特に感染しやすい期間は、発症してから1週間が最も強いため、より注意が必要です。

【原因ウイルス】
a.コクサッキーウイルスA16
手足口病の最も一般的なウイルスであり、軽症例が多いです。
b.コクサッキーウイルスA6
重症例を引き起こすことがあり、発熱も39℃前後になります。また発疹部位も異なり、臀部にも出ることがあります。
c.エンテロウイルス71
さらに重症例を引き起こすことがあり、脳幹脳炎や小脳失調などの合併症による死亡例もあります。

【感染経路】
(1)接触感染:戯れあうことによる患部の直接的な接触や、舐めたりしてウイルスが付着したおもちゃに触れるなどによる感染です。
(2)飛沫感染感染者の咳やくしゃみ、会話による飛沫を吸い込むことで感染します。
(3)糞口感染:感染者の便から排出されたウイルスが手などに付着し、そこから口に入り感染します。トイレ後の手洗い不徹底や、おむつ替えの際の付着などが原因です。

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3.手足口病により出る症状

【症状】
・発疹:一番主要な症状で、口の中、手のひら、足の裏や甲に数mm大の水疱状の発疹が出ます。時に、肘や膝、臀部に出ることもあります。特に、口内の水疱は数日後に破れて潰瘍になり、ひどく痛みを伴い食事を取れなくなる場合も見られます。
・発熱:約1/3程度に見られますが、通常38℃以下の中程度であることが多く、高熱が続く様なことはほとんどありません。
・その他の症状:嘔吐や下痢などの胃腸系の症状、頭痛や倦怠感などを伴う場合もあります。
【合併症】
・中枢神経合併症:稀ではありますが、幼児を中心として髄膜炎、小脳失調症、急性弛緩性麻痺、脳炎などを生じるため、早めの医療機関への受診が必須です。
・爪甲脱落症:手足口病による症状が改善してから1〜2ヶ月後くらいに、爪が剥がれ落ちてしまうことがあります。コクサッキーウイルスA6に感染したときになりやすいようです。ただし、これはウイルスにより一時的に起きただけのものなので、しっかり生えてくるまで患部を保護しておけば問題はありません。
【経過】
ウイルスの感染後、おおよそ3〜5日間の潜伏期間を経て発症します。発症後は手や足、口内に発疹が広がり、安静にしている限りは5〜7日程度で発疹も引いてきます。発疹の多くは、カサブタにならず痕になることもほとんどありません

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4.手足口病の治療法

現在のところ、手足口病の原因ウイルスに特異的に効果がある薬はありません。また、手足口病はほとんどが軽症で自然に治る病気であるため、経過を見ながら症状に応じた治療を行います。基本的には、症状が落ち着くまで家で安静にしていることが一番です。

【対症療法】
(1)解熱鎮痛剤
高熱でつらそうにしていたり、痛みがひどい時に限って使用します。幼児であれば特にアセトアミノフェン製剤、他にはイブプロフェン製剤が安心して飲ませられます。アスピリン製剤はライ症候群(※1)を起こすことがあり、避けるべきとされています。

(2)水分補給
脱水症状を防ぐために、十分な水分摂取はとても重要です。口内は発疹で痛みが強いことがあるため、冷たいもので補給すると良いです。また、痛みで食事が十分取れない場合は、経口補水液を利用して電解質などの補給もおすすめです。

(3)口腔内のケア
口内では水疱が破れ、潰瘍になることで著しい痛みを感じることがあります。食事はスープやゼリーなど刺激の少ないものを与えると良いです。また、清潔を保つために適度なうがいも行います。痛みが強い場合は、1%濃度の塩水でうがいすると幾分和らぎます。

医療機関での治療】
重症な合併症もあるため、経過観察をしっかりと行い、継続する高熱、ひどい頭痛や嘔吐、呼吸が乱れ息苦しい、水分が不足で排尿もない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

※1:ライ症候群とは、急性脳症(嘔吐、意識障害、痙攣などの症状)で、肝臓や他の臓器の脂肪変性、CT所見で脳浮腫が見つけられるなどの特徴づけられるもの。特に、アスピリンを始めとするサリチル酸系薬剤の投与でよく見られる傾向がある。

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5.手足口病の予防や対策

(1)手洗いの徹底
トイレの後、外出後、食事後の手洗いを徹底し、石鹸と流水でしっかりとウイルスを洗い落とすことが重要です。アルコール消毒に関しては、手足口病の原因ウイルスにはエンベロープ(※2)がないため、あまり効力を発揮しないことを念頭に置いておきます。

(2)清潔な環境の維持
子供が触れるおもちゃや家具を定期的に消毒することで、ウイルスの拡散を防ぎます。次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤を薄めたもの)などを使用すると効果的です。また、タオルやコップなども共有のものは避け、各自専用のものを使用しましょう。

(3)感染者の隔離
感染者がいる場合、家庭内で接触を最小限にし、感染が広がらないようにします。特に、手洗いや消毒を徹底し、感染者と他の家族との接触を減らします。
学校や保育園に関しては、症状が治るまで休み、他の子供達への感染拡大を防ぎます。

※2:エンベロープとはウイルスの外側を覆う脂質の膜のことを言います。これにより、ウイルスは細胞に侵入しやすくなりますが、アルコールなどの消毒剤に弱くなります。

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6.類似疾患であるヘルパンギーナとの違い

【類似点】
(1)原因ウイルス
どちらもエンテロウイルス属のウイルスによって引き起こされるため、ヘルパンギーナも同様にアルコール消毒は効きづらいものとなっています。
(2)流行性
ヘルパンギーナは夏風邪とも呼ばれ、手足口病と同様に夏に流行期があり、5歳以下の幼児がほとんどであることも同じです。
(3)予防や治療
手足口病同様に、ヘルパンギーナも徹底した手洗いや衛生面の管理、感染者の隔離などが主な予防となります。また治療も水分補給や対症療法のみです。

【相違点】
(1)発疹の分布

ヘルパンギーナは口内、特に口蓋(口内の上部)および咽頭部に発疹が集中し、手足などには見られません。

(2)発熱のパターン
手足口病は微熱から中等度の発熱が見られますが、ヘルパンギーナは突然の高熱を出すことが多いです。

(3)感染者の状態
手足口病は広範囲に発疹が広がるため、一見ひどく思われがちですが、意外と元気なことが多いです。一方、ヘルパンギーナは高熱により、辛そうな状態になります。

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7. 手足口病についてのQ & A

Q1. 手足口病の症状が現れたらすぐに医者にかかるべき?
A1. 多くの場合、手足口病は自然に治るため、家で安静にしているのが第一です。ただし、高熱が続く場合や、ひどい痛み、または中枢神経症状(激しい頭痛や意識障害など)が現れた場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

Q2. 手足口病に罹ったら、絶対に保育園や学校を休ませなくてはいけないの?
A2. 学校保健法の第3種に分類されており、明確な出席停止期間の規定はありません。そのため、出席停止の扱いにはなりません。ただし、本人や他の子供達の感染を考えると、「発熱がなくなり全身状態が回復し、通常の食事が摂れる状態」に戻ってからが推奨されます。

Q3. 手足口病は1度かかったらもうかからないと思っていい?
A3. 一度かかったウイルスに対しては抗体ができ、通常は再感染しません。ただし、感染していない他のウイルスに対しては抗体ができておらず、手足口病に再びかかってしまう恐れがあるため注意が必要です。

Q4. 大人にはうつらないの?
A4. 感染した子供を介して、または赤ちゃんのおむつ替えなどにより、数としては少ないですが大人でもうつることがあります。また、大人の方が重症化することもあるため、感染した幼児と接するときは衛生管理を徹底させる必要があります。

Q5.体内のウイルスも1週間程度で消失するの?
A5. 症状自体が治っても、飛沫や便が感染源になることもあり、一定の注意は必要です。ただし、元気な子供を長期間休ませることは現実的ではありません。感染のリスクを減らすために、手洗いや消毒などの衛生対策を継続することが重要です。

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8. まとめ

  • 手足口病とは、名の通り手と足や口内に水疱を主徴とするウイルス感染症のことをいう。
  • 主に夏に流行し7月がピークを向かえる。5歳以下の感染が9割であるが、成人でも感染することがある。
  • 原因ウイルスは、エンテロウイルス属の数種類のウイルスである(コクサッキーウイルスA16型、エンテロウイルス71型など)。
  • 感染経路は主に糞口感染を含む接触感染や飛沫感染である。
  • 主症状は手足や口の発疹、発熱は約1/3であり高熱になることは少ない。
  • 稀に髄膜炎や小脳失調症などの中枢神経症状が合併症として起こり、早めの医療機関での処置が必要。他にも爪甲脱落症などの合併症もある。
  • ワクチンなどは現状なく、痛みが強ければ鎮痛剤、脱水を防ぐために水分補給など対症療法が主な治療となる。
  • 予防は徹底した手洗い、衛生面の管理、家庭内での隔離が重要となる。
  • 同類の疾病であるヘルパンギーナとの大きな違いは、高熱が出るか、発疹が口内だけにとどまるかなどがあり、見分けはつきやすい。
  • 登園や登校は法的に明確化はされていないが、「発熱や口内の潰瘍などの影響がなく、普段の食事が摂れる」まで回復してからが望ましいとされている。

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内臓脂肪減少薬「アライ」使用経過報告④:42日目まで

【方針】
アライの作用機序を考慮すると、脂っこい食事を摂った時でしか服用する意義がないため、昼はよほど脂分がない食事の時以外は服用、夕は必ず1日1~2回服用することとします(本来は毎食後に1日3回しっかり飲むべき薬です)。

【経過】
・29日目(5月30日)
体  重:59.6kg
体  脂  肪:25.6%
歩  数:4,038歩
便  通:排便少量のみ。
特記事項:特になし。

・30日目(5月31日)
体  重:59.6kg
体  脂  肪:25.6%
歩  数:6,086歩
便  通:異常なし。
特記事項:また油漏れが多くなる。

・31日目(6月1日)
体  重:59.8kg
体  脂  肪:25.6%
歩  数:6,560歩
便  通:午後に何回か下痢あり。
特記事項:1日2回服用。

・32日目(6月2日)
体  重:59.6kg
体  脂  肪:25.6%
歩  数:8,521歩
便  通:「アライ」服用し始めてから、初めて便通なし。
特記事項:1日2回服用。

・33日目(6月3日)
体  重:59.4kg
体  脂  肪:25.4%
歩  数:4,084歩
便  通:異常なし。
特記事項:排便時などに油がかなり排出。

・34日目(6月4日)
体  重:59.1kg
体  脂  肪:25.2%
歩  数:5,045歩
便  通:異常なし。
特記事項:1日2回服用。トイレにて放屁時などに油漏れ多い。

・35日目(6月5日)
体  重:59.2kg
体  脂  肪:25.2%
歩  数:5,512歩
便  通:異常なし。
特記事項:本格的に16時間ファスティングも取り入れる。

・36日目(6月6日)
体  重:59.2kg
体  脂  肪:25.4%
歩  数:5,248歩
便  通:異常なし。
特記事項:直腸付近にまた鈍痛を感じる。

・37日目(6月7日)
体  重:59.2kg
体  脂  肪:25.5%
歩  数:10,112歩
便  通:夜にひどい下痢があり。
特記事項:特になし。

・38日目(6月8日)
体  重:59.3kg
体  脂  肪:25.3%
歩  数:5,297歩
便  通:夜に軽い下痢あり。
特記事項:特になし。

・39日目(6月9日)
体  重:59.2kg
体  脂  肪:25.4%
歩  数:3,308歩
便  通:ほとんど便通なし。
特記事項:油漏れが久々に気になり始める。

・40日目(6月10日)
体  重:59.1kg
体  脂  肪:25.1%
歩  数:6,074歩
便  通:連日便が少量のみ。
特記事項:排便時の油便がすごく、便器が油まみれになる。

・41日目(6月11日)
体  重:59.5kg
体  脂  肪:25.5%
歩  数:5,452歩
便  通:異常なし。
特記事項:皮膚炎が良くない状態が続く。

・42日目(6月12日)
体  重:59.4kg
体  脂  肪:25.4%
歩  数:6,277歩
便  通:夜に下痢あり。
特記事項:皮膚科に受診し、皮膚炎はマラセチア毛包炎が治っていなかっただけであることが判明。よって副作用ではなかった。

【42日間継続後結果】
効  果:体重と体脂肪ともに、わずかだが数値として明らかに減っている。
副  作  用:便下痢は不定期的に続いています。元々そこまで下痢傾向はなかったので、明らかにアライの副作用です。またトイレ以外では油漏れはほぼ問題なくなってきたので、多少体が慣れてきたのでしょう。継続して消化器系以外の副作用は今のところありません。おそらく脂溶性ビタミン不足もないと思われます。
感  想:1日2回にしても、効果はこんなもの?っていう印象です。1ヶ月真面目に飲むと、9,000円程度かかるので、対費用効果としても厳しいのではないのでしょうか。効く人はもっと効いているんでしょうかね?自分の体脂肪率は男としてはかなり高い方なので、1ヶ月飲めばもっと効くものと思っていました。
あと、16時間ダイエットは今までまともに続いたことがなかったのですが、一応1週間継続していることになります。ブログに書くことで強く意識することになり、そのようなことで結構変わるものだと思いました(今までは数日しか続きませんでした)。何かを挑戦するときに、他人に宣言するのがいいと聞いたことがありますが、本当なんでしょうね。
特記事項:再度マラセチア毛包炎が発覚したため、6/12よりイトラコナゾール100mg/日併用。上記記載通り、6月5日より16時間ファスティングも並行で行っています。

若者でもなりうる?知らないと怖い白内障と緑内障

No.14 白内障緑内障の治療ガイダンス

目次

  1. 白内障と緑内障はどう違うの?
  2. 白内障ってそもそもどういうものなの?
  3. 白内障の原因は主に何?
  4. 白内障になったらどんな症状が出るの?
  5. 白内障はどうしたら予防や改善ができるの?
  6. 緑内障はとても怖い眼疾患だと聞くけど?
  7. 緑内障は飲んではいけない薬がある?
  8. 緑内障にはどんな予防や治療法はあるの?
  9. 白内障と緑内障についてのまとめ!

 

1. 白内障緑内障はどう違うの?

目の病気と聞くと、多くの人が白内障緑内障を思い浮かべるかもしれません。疾病名に色がついているため、関連性を感じる方もいるかもしれませんが、実際にはこれらは全く異なる疾患です。

白内障は、文字通り目が白く濁ってぼやける疾患です。通常、透明であるべき水晶体が混濁し、視界が曇り、ぼやけたり、色が失われたりします。一方、緑内障は、視神経や眼圧の異常によって引き起こされ、視野が徐々に狭くなる疾患です。これにより、視野の周囲が見えにくくなります。

両疾患とも日本における失明の主要な原因の一つですが、失明率が高いというわけではありません。適切な管理や治療を行えば、多くの場合、視力を維持することができます。では、それぞれの特徴を理解して、症状が出た時に適切に対処できるようにしましょう。

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2. 白内障ってそもそもどういうものなの?

白内障は、目の中でピントを合わせる役割を果たす水晶体が濁る病状です。この水晶体は、主にクリスタリンというタンパク質で構成されており、このタンパク質の性質が加齢やその他の要因によって変化することで、透明度が失われます。

この状態を理解するのに、メガネのレンズに例えると分かりやすいでしょう。新品のメガネのレンズはクリアで、物が鮮明に見えます。しかし、時間が経つにつれてレンズに細かい傷がついたり、塗装が剥がれたりして、徐々にぼやけて見えるようになります。白内障も同様に、水晶体が濁ることで、見える世界がぼやけたり、光が散乱して眩しく感じたりします。

重要なのは、この濁りが進行すると、日常生活においても見えにくさを感じるようになり、読書や運転といった活動が困難になることもあるという点です。幸いなことに、白内障は手術によって水晶体を置換することで、視力を回復させることができます。

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3. 白内障の原因は主に何?

白内障の最も一般的な原因は加齢です。 高齢になるにつれて、ほとんどの人が何らかの形で白内障の発症リスクに直面します。実際に、発症率は50代で約50%、80代ではほぼ100%に達すると言われています。自分のおじいちゃんやおばあちゃんの黒目部分がなんか白って見えると感じたら、すでに白内障がかなり進行していると見て良いので早めの受診を勧めてくださいね。

しかし、加齢だけが原因ではありません。 近年、若年層でも白内障が増加しています。これは、長時間のスマートフォンやパソコンの使用による光の露出、紫外線への過度の露出、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの疾患の合併症から発症するケースがあります。特にアトピー性皮膚炎の場合、使用されるステロイド薬が原因となることが多いですが、ステロイドを使用していなくても白内障を発症することはあります。

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4. 白内障になったらどんな症状が出るの?

白内障が進行すると、日常生活に支障をきたすさまざまな症状が現れ始めます。もし次のような症状に気づいたら、早めに眼科医の診察を受けることが重要です。

  • 視界がかすんで見える:最も一般的な症状で、水晶体が濁ることで、物がぼやけて見えます。このぼやけは、最初は軽微かもしれませんが、時間と共に悪化することがあります。
  • 光が眩しく感じる:水晶体の濁りが光の散乱を引き起こすため、特に太陽光や夜間の車のヘッドライトが異常に眩しく感じられることがあります。この症状は、特に運転中に危険を伴います。
  • 視力が落ちたように感じる:白内障は初期段階では感じられず、病状が進行するにつれて明らかな視力の低下を感じるようになります。これは水晶体の濁りが視界の中心部に影響を及ぼし始めるためです。
  • 物が二重、三重に見える:水晶体の濁っている部位といない部位が光を異なる方法で屈折させるため、一つの物体が複数に見える複視が発生します。この現象は、一方の目を閉じても改善されないことが特徴です。
  • 色の見え方が変わる:進行する白内障は、色の知覚に影響を及ぼすことがあり、色がより暗く、または黄色がかって見えるようになる場合があります。
  • 「ハロー」現象:光源の周りに光の輪が見える「ハロー」現象や光の尾が見えることがあります。

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5. 白内障はどうしたら予防や改善ができるの?

加齢が主な原因であるため、白内障を完全に防ぐことは難しいですが、その発症を遅らせるか、進行を緩やかにするための対策は可能です。以下は、白内障の予防と進行の遅延に役立つ方法です。

【予防法】

  • 健康状態の管理:糖尿病重度のアトピー性皮膚炎などは白内障のリスクを高めます。これらの状態を適切に管理することが重要です。
  • 紫外線(UV)保護:目への紫外線の曝露は白内障のリスクを高めることが知られています。UVカットが施されたサングラスを着用することで、このリスクを減らすことができます。
  • 抗酸化栄養素の摂取:ビタミンCビタミンEなどの抗酸化物質は、白内障の予防に有効かもしれません。これらは果物や野菜、全粒穀物、ナッツに豊富に含まれています。
  • ピレノキシン点眼液:一部の点眼薬は白内障の進行を遅らせる効果があるとされていますが、治療薬ではなく、予防または進行の遅延に寄与するものです。

【治療法】

白内障の最も効果的な治療法は外科手術(水晶体摘出術)です。この手術は進歩が著しく、一昔前と比べても時間も安全性もかなり改善されています。

  • 時間と手順:手術は10〜15分程度で終了し、点眼麻酔により痛みはほとんどありません。手順としては、角膜を微小切開し、濁った水晶体を吸引後、人工の眼内レンズを挿入します。
  • 回復期間:多くの場合、患者は手術直後から日常生活に戻ることができます。ただし、医師の指示に従って、数週間は重いものを持つなどの激しい活動を避ける必要があります。
  • 費用:保険適用内で、1割負担の場合15,000〜20,000円、3割負担の場合45,000〜60,000円程度ですが、使用する眼内レンズの種類によって異なる場合があります。

白内障は避けられないかもしれませんが、これらの予防策と早期治療により、その影響を最小限に抑え、良好な視力を長く維持することが可能です。

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6. 緑内障はとても怖い眼疾患だと聞くけど?

緑内障は、視神経の損傷により視野が徐々に狭くなっていく病気であり、白内障ほどではないですが多くの人が患っています。特に40歳以上では5%、50歳以上では10%以上の人が緑内障になると言われており、日本では失明の主要な原因となっています。この事実が、緑内障が持つ「怖い」というイメージの根底にあります。

【怖いと思われる原因】

  1. 失明のリスク: 緑内障は治療を怠ると最終的に失明に至る可能性があります。現在、日本で失明原因の第一位を占めているのはこの病気です。ただし医療の発達により、その絶対数自体は多くありません。
  2. 早期発見が難しい:定期的な眼科検診を受けない限り、早期に発見するのが難しい病気です。多くの人が症状に気づいた時には、既に病気が進行していることがあります。
  3. 自覚症状が少ない:緑内障は診断を受けても中期までは、自覚症状が少ないです。そのため、治療を途中で辞めてしまうことが多く、無自覚のまま放置して視神経の障害などは進行していきます。

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7. 緑内障には飲んではいけない薬がある?

市販の風邪薬や病院から処方された薬の説明書に、「緑内障の方は服用を控えてください」や「医師や薬剤師にご相談ください」といった注意書きがあることに気づいたことはありませんか?これは、特定の緑内障を持つ人が避けるべき薬が存在するためです。

緑内障にはいくつかのタイプがありますが、「閉塞隅角緑内障を持っている人が特に注意すべきです。このタイプの緑内障を持つ人は、抗コリン作用を持つ薬を避ける必要があるため、どのタイプの緑内障を持っているかを事前に把握しておく必要があります。これは、眼科医に尋ねることで簡単に知ることができます。また、覚えるのが難しい場合は、緑内障連絡カード」を持つか、お薬手帳に記入してもらい常に携帯することが推奨されます。

緑内障は大きく開放隅角緑内障閉塞隅角緑内障の2つに分類されます。目の内部には房水という液体があり、これが眼の組織に栄養を供給したり、目の硬さ(眼圧)を調整しています。この房水の排出口が隅角で、この部分が開いているか閉じているかによって、緑内障のタイプが決まります。

  • 開放隅角緑内障隅角にあるフィルター機能を持つ線維柱帯が、何らかの理由で目詰まりを起こし、房水の排出がうまくいかず、長期に渡り視神経が圧迫され徐々に傷害が進行します。開放隅角緑内障には、眼圧が高い状態にある「原発開放隅角緑内障」、眼圧が正常範囲である「正常眼圧緑内障」があります。驚くことに、日本における緑内障の約7割以上が正常眼圧緑内障です。緑内障といえば「眼圧が高い」というイメージが強いですが、これは意外な事実でしょう。
  • 閉塞隅角緑内障文字通り、房水の排水口である隅角が閉じてしまい、狭くなるために房水が滞り、眼圧が上昇して視神経に損傷を与えます。さらに、急性緑内障発作では抗コリン薬の服用などが原因で、眼圧が急激に上昇することがあり、これがひどい頭痛や吐き気、さらには失明のリスクを高める可能性があります。
  • 他に稀ですが小児緑内障、他疾患や薬などが原因である続発緑内障などがあります。

眼圧が正常であるのに緑内障であることとは逆に、眼圧が高いにもかかわらず緑内障でない場合もあり高眼圧症と呼びます。視神経などは障害を受けていないですが、そのままでいると緑内障のリスクとなることもあり治療が推奨されるケースが多いです。

【服用を避けるべき薬】

風邪薬、胃薬、アレルギー薬など、さまざまな種類がありますが、具体的には薬の注意書きに記載されています。緑内障を持っている方は、服用前に必ず薬の説明書を確認し、必要であれば医師や薬剤師に相談してください。

緑内障と抗コリン作用のある薬についての重要な補足

先に述べたように、「閉塞隅角緑内障」に対しては、抗コリン作用のある薬の使用に特に注意が必要です。しかし、正確には、「開放隅角緑内障の患者さんの中にも、同様の注意が必要な場合があります。

緑内障の隅角の開き具合にはグレードが存在し、これは隅角がどの程度開いているかを示しています。隅角が広く開いている状態をグレード4とし、最も狭い、すなわち閉塞隅角緑内障に近い状態をグレード1と分類しています。グレード3から4に該当する場合は、一般的に抗コリン作用のある薬に関して特に心配する必要はありませんが、グレード1から2の場合は、急性発作を引き起こす可能性が否定できないため、注意が必要です。

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8. 緑内障にはどんな予防や治療法はあるの?

緑内障は視神経に障害を与える眼疾患であり、一度障害を受けた神経は元に戻りません。しかし、早期発見と適切な治療により、神経の障害が軽度に済み、失明の確率を大幅に減少させることができます。

治療方法としては薬物療法などいくつかありますが、エビデンス上で最も確実な方法と言えるのが、眼圧を下げることです。これは正常眼圧緑内障でも同じことが言えます。

薬物療法

「開放隅角緑内障」においては、第一選択の治療法となっています。まず神経に障害を与えないように眼圧を下げる、つまり房水をコントロールする目的が主になります。

  • プロスタグランジン製剤:キサラタン(ラタノプロスト)、ルミガン(ビマトプロスト)など
    房水の排出促進により眼圧を下げます。現状最も優れた眼圧降下作用や、重篤な副作用の少なさからも第一選択薬とされています。副作用として充血や、メラニン色素活性作用から、虹彩や目周囲の色素沈着に注意が要ります。
  • β遮断薬:チモプトール(チモロール)、ミケラン(カルテオロール)など
    プロスタグランジン製剤に次いで、強い房水排出促進があります。また心疾患喘息の懸念もあるため、第一選択薬ではあるものの使用者を選びます。
  • 炭酸脱水酵素阻害薬:トルソプト(ドルゾラミド)、アゾプト(プリンゾラミド)など
    房水の産生を抑制することで眼圧を下げる作用があり、効果が緩やかなため第二選択薬として用いられます。目の刺激感や充血が代表的な副作用です。
  • Rhoキナーゼ阻害薬:グラナテック(リパスジル)
    房水のフィルタ役である線維柱帯と、静脈への排水口となるシュレム管に関与して房水の排出を促し、第一選択薬が効果ないときに用います。副作用として、およそ7割とかなり高確率で充血が出ます

【塩化ベンザルコニウムが入っていない目薬の選択】
塩化ベンザルコニウム(BAK)は、目薬を細菌やカビなどの汚染から守るために、保存剤として多くの目薬に使用されています。しかし、近年の研究では継続的な使用により目に悪影響を与える可能性があり、特に長期間使用する緑内障のような目薬では、深刻な問題をきたすことがあると考えられています。
BAKは角膜上皮細胞に対して毒性をもっています。角膜は目の表面を覆う膜であり、損傷することで、まぶしく見えたりものが正しく見えなくなる恐れもあります。今まで使用しているもので何ともなければ良いですが、特にドライアイを持っていたりする方は角膜障害を起こしやすいため、BAKの入っていない目薬があればそちらを使用した方が良いでしょう。ラタノプロスト製剤で言うと、ジェネリック品において「ニッテン」や「NP」と付くものがそれに当たります。
※BAKは保存剤としてでなく、界面活性剤として薬物の溶解を助けたり、角膜への薬を浸透しやすくする作用もあります。しかし、緑内障の目薬で言えば、眼圧を下げる作用など効果の面でも特別問題はありません。

⑵レーザー手術
薬物療法で十分効果が得られない場合に検討される治療法です。現在の医療では、とても安全性が高いと言われています。いずれも目の内部構造には影響を及ばさないため、社会復帰までの時間はとても短くて済みます

  1. レーザー虹彩切開術(LPI):レーザーにより虹彩に孔を開け、防水の排出部を作り流れやすくする治療法であり、「閉塞隅角緑内障」の第一選択治療となっています。
    【手術時間】15〜30分程度、経過観察は3〜4週間。
    【合併症】軽微な症状では前房出血、角膜混濁、虹彩炎、重篤なものだと水泡性角膜症(術前検査などにより対策可)。
  2. レーザー線維柱帯形成術(SLT):フィルターの役割である線維柱帯にレーザーを照射し、排水機能を改善させる治療法です。眼圧効果作用は虹彩切開術より低いとされています。
    【手術時間】5〜15分程度。
    【効果持続期間】長期的には徐々に効果が減弱、平均3年程度
    【合併症】前房出血、一時眼圧上昇など比較的軽微で少ない。
  3. レーザー隅角形成術(LGP):レーザーの熱により隅角を拡大し、房水の流れを改善する治療法です。LPIができない方などに適応されます。
    【手術時間】おおよそ15分程度。
    【合併症】一過性眼圧上昇、虹彩炎など。

⑶観血的手術(人体を傷つけ切開することで、直接患部に施しをする手法)

薬物治療やレーザー手術によっても十分改善しない場合や、副作用等などで治療できない場合などに適応になります。

  1. 線維柱帯切除術(トラベクレクトミー):濾過手術の一つであり、白眼部である強膜を切開することでバイパスを作り、防水の排出量を調整するもので、大部分の緑内障の手術の中で最も一般的な手術となっています。
    【手術時間】30〜60分程度。
    【合併症】眼内炎(感染症)、出血、低眼圧など。
  2. 線維柱帯切開術(トラベクロトミー):房水流出路再建術の一つであり、専用器具で目詰まりしたフィルターである線維柱帯を切開することで、房水の流れを改善し眼圧を下げるものです。上記の切除術よりも眼圧を下げる効果は低いですが、合併症のリスクが低いことが特徴です。また、それほど内部にまで影響を及ぼさないため白内障手術を同時に受けることができる利点があります。
    【手術時間】5〜15分程度。
    【合併症】全房出血、一過性眼圧上昇など。

⑷水晶体摘出術(白内障手術)

「閉塞隅角緑内障」は隅角が塞がれていることで、房水がたまり視神経を圧迫し障害を起こすものです。また他の要因として、加齢により水晶体が厚くなることにより、さらに隅角が狭くなり悪化します。そこで白内障手術により薄い人工レンズに交換することで、防水の流れを改善し眼圧を下げることができます。ただし、通常の白内障手術よりも合併症のリスクが高まります。特に急性緑内障の時は合併症が起こりやすいため、信頼できる眼科医のもとで治療を受けた方が良いようです。これも「閉塞隅角緑内障」の治療の第一選択となっています。

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9. 白内障緑内障についてのまとめ!

  • 白内障はレンズ役である水晶体の濁りによるかすみ眼など、緑内障は視神経の障害による視野狭窄であり、全く別物である。
  • 白内障は高年齢ではほぼ高確率で発症する。
  • 緑内障は眼圧が正常なものが最も多い。正常眼圧を含めすべてのタイプの緑内障において、エビデンスでは眼圧を下げることが最も効果が高い。
  • ともに現状では治療する薬は存在しない。進行後は手術などで対応するしかない
  • 手術は白内障では日帰りも可。緑内障ではレーザー治療であれば、大体はすぐに社会復帰ができる。
  • 緑内障による手術では完治はできないため、術後定期検診は必須で、再手術が必要なこともある。
  • 緑内障では飲むと弊害が出る薬が少なからずあり、「閉塞隅角緑内障」と極一部の「開放隅角緑内障」が対象。また各個人それを飲んで良い悪いケースもあるため、緑内障の診断を受けた際の医師への確認は必須

ともに加齢で発症するイメージがありますが、最近では若年層でもなってしまうことが分かってきました。特に若ければ何か症状がないと眼科には行かないでしょう(実際私は少なくても30年は行っていません)。前述通り両方不可逆的な疾患であり予防薬しかなく、早期発見し適切な治療がとても重要になってきます。やっぱり定期的な検診というのはとても大切ですね・・・と自分にも言い聞かせて終わりとします。

 

 

イボに最適な治療法を見つけよう!種類別に徹底解説

No.13 イボの治療ガイダンス

目次

  1. そもそもイボというのはどのようなものを言うの?
  2. イボの他に似たようなタコやウオノメなんかと何が違うの?
  3. ウイルスが原因のイボは、どのような経緯で伝染するの?
  4. イボの種類とその特徴を教えて!
  5. イボの治療で有効なものを教えて
    (1)物理的治療法(冷結治療、電気凝固、レーザー照射)
    (2)化学的治療法(サリチル酸外用)
    (3)薬理的治療法(活性型ビタミンD3外用、ブレオマイシン局所注入療法、レチノイド外用・内服)
    (4)免疫学的治療法(ヨクイニンエキス内服、接触免疫療法、イミキモド外用、シメチジン内服)
  6. どのイボにどの治療法が有効なの?
  7. イボについてのまとめ!

1.そもそもイボってどういうものを言うの?

まず、「イボ」とは俗語であり、医療においての正式な名称ではありません。イボの定義としては、「皮膚から盛り上がっている小さなできもの」を指し、そのすべては良性腫瘍となります。またこれらは、いくつかの種類に分けられています。

一般的に「イボ」として知られているものは、正式には「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」と呼ばれます。これ以外にも、高齢者にできやすい「老人性イボ」と呼ばれる「脂漏性角化症」や、首や脇下によくでき「首イボ」とも言われている「軟性線維腫」などがあります。また、尋常性疣贅と同じヒトパピローマウイルス(HPV)の異なる型によって引き起こされ性器などにできやすい「性器イボ」である「尖圭コンジローマ」も存在します。

これらのイボはそれぞれ原因や伝染性、治療法が異なります。ウイルスが原因で伝染するものもあれば、加齢が原因のものもあります。これから、それぞれのイボについて詳しく説明していきます。

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2.イボの他に似たようなタコやウオノメなんかと何が違うの?

類似したできものとしては、タコやウオノメなどがあり、なかなか区別がつきづらいかもしれません。そこでまず、イボとその他のできものとの大雑把な違いについて説明します。タコやウオノメは、長期間一定の部位に刺激や圧力を受けることによるもので、イボとは異なる原因によって引き起こされるため、見た目や症状に違いがあります。また、イボは表皮と真皮が互いに入り組んだ状態であるのも相違点です。

タコの見た目としては、刺激を受け続けている部位が厚く平らに盛り上がります。また、この盛り上がった硬い層がクッション代わりとなり、外からの刺激から守ってくれるため痛みはほぼ感じません。これがタコと他との最も大きな違いです。

ウオノメは、中央に芯のようなものができ、そこを中心に円形に皮膚が固くなります。刺激を受け続けると、くさび状に食い込んだ角質が神経を圧迫し、歩行などによりひどい痛みを生じることもあります。なお、小さいものであるとイボとの区別が難しくなることがあります。

これらの違いを理解することで、イボとタコ、ウオノメなどをおおまかには区別することができます。

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3.ウイルスが原因のイボは、どのような経緯で伝染するの?

ウイルスが原因のイボは、主にヒトからヒトへの直接感染が最も一般的ですが、間接的な接触によっても伝染することがあります。例えば、プールやジム、銭湯などの共有施設では、水虫と類似した傾向が見られます。また、食品業界などで鮮魚や精肉を取り扱う方は、手のウイルス感染を助長させ、イボの発症率が高いことが知られており、職業に関連したウイルス感染もあることが判明しています。

ただし、イボの原因となるウイルスは、基本的には健常な皮膚から感染することはありません。ウイルスは、外傷などによる微細な傷口から皮膚内に侵入し、表皮の一番下にある層に特異的に感染します。そして、ウイルスは潜伏(不顕性)感染状態にあり、しばらくの間は症状が現れません。しかし、ある一定数のウイルスが活性化し、イボとして症状を発症してしまいます。

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4.イボの種類とその特徴を教えて!

まずウイルスによるものかどうかで大別します。そして、ウイルス性のイボは伝染し、そうでないものはしません。

(1)ウイルス性イボ
a.尋常性疣贅(一般イボ)
【原因】特定のヒトパピローマウイルス(主にHPV-1、HPV-2、HPV-4など)
【見た目】 表面がザラザラしており、隆起または平坦な突起物
【主な発生部位】手や指、膝や足の裏など
【症状】通常は痛みやかゆみなど自覚症状はない
【伝染性】高い

b.伝染性軟属腫(水イボ)
【原因】 ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)
【見た目】表面がツルツルで、小さな水膨れ状のもの
【主な発生部位】体や手足、脇や股など(毛に感染することが多いと考えられ、手足の裏などは発症しにくい)
【症状】自覚症状はなし
【伝染性】高い(しっかり患部を覆えば小学校などではプール可)

c.尖圭コンジローマ(性器イボ)
【原因】特定のヒトパピローマウイルス(主にHPV-6、HPV-11)
【見た目】鶏冠やカリフラワー状の小さなブツブツ
【主な発生部位】性器や肛門周囲、口腔内(※1)など
【症状】性行痛や不正出血、排尿困難など
【伝染性】非常に高い(主に性行為による。患部を完全に覆い尽くさない限り、コンドームでも完全予防は困難)

(2)脂漏性角化症(老人性イボ)
【原因】明確には不明(加齢や遺伝的要因とも考えられる)
【見た目】褐色〜黒色で、シミがイボのようにやや盛り上がった状態
【主な発生部位】顔や首、胸や背中など。紫外線が多く当たる部位
【症状】ほぼないが、たまにかゆみや赤み
【伝染性】なし

(3)軟性線維腫(首イボ)
【原因】明確には不明(紫外線や摩擦によるものとも考えられる)
【見た目】淡褐色〜薄茶色で、小さな突起物。巨大化して垂れ下がることもあり
【主な発生部位】首や脇、鼠径部など柔らかい部位
【症状】普段はなく、擦れて炎症を起こすと痛むこともあり
【伝染性】なし

※1:口腔内の尖圭コンジローマは、口内炎と勘違いしてしまいがちです。区別はしみることや痛みの有無で行い、基本コンジローマの時はそれらはありません。

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5.イボの治療で有効なものを教えて!

ウイルス性のイボには特異的な抗ウイルス薬が現時点では存在せず、特定の治療法が優先して推奨されることはありません。医療機関では、患者個々の状態を見ながら最適な治療法を選択し、試行錯誤しながら治療を行っています。そのため、各治療法においても効果には個人差が大きく、保険適用外のものも多いです。以下に、現在使用されている治療法の中から有効であると言われているものを説明します。
記した推奨度は、最新の尋常性疣贅治療ガイドラインを参照しており、推奨度の高い順にA>B>C1>C2となっています。

(1)物理的治療法
a.液体窒素凍結療法:推奨度A
液体窒素を用いてイボを凍結させ、壊死に至らせてカサブタにして除去する治療法です。保険適用があり、現在最も広く活用されています。ただし、個人差が大きく、効果が見られない場合もあります。通常、イボ周囲を含めて3回凍結を繰り返し、1〜2週ごとに行います。手指や四肢のイボには有効ですが、足底には効果が薄いとされています。

b.電気凝固:推奨度B
電気凝固は、患部に局所麻酔を施し、電気メスで焼灼する治療法で、保険適用があります。ガイドラインでは、標準治療が有効でない場合の選択肢の一つとされています。特に足底のイボに有効とされますが、施術後に瘢痕が残りやすいことが注意点です。

c.レーザー照射:推奨度B〜C2
レーザー照射は、特定の波長の光を増幅させて除去する治療法で、標準治療が無効であった時に考慮します。レーザーには、CO2レーザー、エルビウムヤグ(Er:YAG)レーザー、PDLレーザーなどがあり、すべて保険適応がありません。また、各種レーザー治療は、その機器や方法などによりかなり有効性に差が出てしまう傾向にあります。

(2)化学的治療法
a.サリチル酸外用(スピール膏、サリチル酸ワセリン軟膏):推奨度A
サリチル酸は、角質を柔らかくする作用に加え、ウイルスに対する免疫を高める作用もあるとされています。医療用や市販薬としてスピール膏があり、保険適用もあります。注意点としては、正常な皮膚に薬がつくと、白くふやけて皮が剥けてしまう恐れがあるため、患部のみに使用するように注意が必要です。また、ウイルス性イボは傷口から侵入して悪化するため、皮剥けが起こるとそこからさらにイボが広がる可能性があります。活性型ビタミンD3外用と併用することで、効果を高めることもできます。

(3)薬理的治療法
a.活性型ビタミンD3外用(マキサカルシトール軟膏):推奨度C1
活性型ビタミンD3外用薬としてはマキサカルシトール軟膏があり、通常は乾癬の治療薬として使用されます。患部が分厚い場合、サリチル酸製剤のスピール膏と密封療法を併用することが推奨されます。やり方は、1日1回入浴後などに、マキサカルシトール軟膏を患部に塗布後、スピール膏で覆いさらにテープ剤などで密封する治療法です。前述通り、薬が正常な皮膚についてキズになると悪化要因になるため、はみ出さないように使用するよう注意が要ります。

b.ブレオマイシン局所注入療法:推奨度C1
ブレオマイシンは本来抗悪性腫瘍薬ですが、イボの細胞を壊死させるために治療に用いられ、従来の治療法で効果がない難治性の症例に対して試みられます。デメリットとして、色素沈着や瘢痕が残りやすいこと、爪周囲での骨融解があり爪周囲のイボには推奨されないこと、保険が適用されず費用がかかることがあります。また、注射以外でも塗布剤としてブレオS軟膏を使用し、閉鎖密封療法を行う方法もあります。

c.レチノイド外用(アダパレン)・内服(チガソン):推奨度C1
レチノイドはビタミンAの誘導体で、細胞などの増殖を抑える作用があります。その作用を利用し、イボ表面の角質が厚くなるのを防ぎ、皮膚を正常に改善します。ただし、本剤には催奇形性があるために、妊婦や妊娠の可能性のある方は使用できない治療法です。外用剤では、本来ニキビの薬であるアダパレンを使用し、1日2回の密封療法により凍結療法に近い有効性があったデータもあります。内服薬では、医療用としてチガソンという角化症の治療薬を用います。本剤は多発性イボなどにも効果があるという報告がある一方、副作用が比較的多いのが難点です。具体的には、口内や唇の炎症、皮膚の乾燥や落屑、脱毛および肝障害などが挙げられます。

(4)免疫学的治療法
a.ヨクイニンエキス内服:推奨度B
ヨクイニンは、ハトムギの皮を除いた種子を乾燥させたものです。メカニズムとしては、マクロファージやNK細胞(※2)などの免疫細胞の活性化し、ウイルス感染を排除します。さらに、直接的に抗ウイルス作用を示しHPVの増殖を抑制したり、炎症を抑制する作用で皮膚の治癒が促進されます。ただし、エビデンスでは若年層での有効率が高い一方で、成人ではやや低いとされています。また、ヨクイニンは漢方薬ですが比較的クセのない風味で、さらに錠剤と散剤の両方があり飲みやすい薬となっています。

b.接触免疫療法:推奨度B
接触免疫療法は、意図的にカブレを起こしてイボを治療する方法です。通常カブレという現象は良くないことですが、SADBEなどの自然に存在しないものをアレルゲンとしているため危険性は低いです。やり方は、アレルゲンとなるDPCPやSADBEを少量塗布し、体にそれを覚えさせます(これを感作と言います)。しばらく日にちを置いた後、再度アレルゲンを使用しカブレを起こすことでT細胞などの免疫細胞が集まり、原因ウイルスを排除することができます。副作用としては、カブレ様症状である赤みやかゆみが伴います。またこの治療法は、白斑円形脱毛にも有用されています。

c.イミキモド外用(ベセルナクリーム):推奨度C1
イミキモドは、抗ウイルス作用を持つインターフェロンαや腫瘍細胞を排除するTNF-αの産生を促進することで、イボの原因であるヒトパピローマウイルスを減少させます。現状では尖圭コンジローマにのみ適応があり、びらんや紅斑などの副作用がかなり出やすいことが特徴です。週に3回夜のみ使用し、起床時には必ずしっかり洗い流さないと、上記の副作用が出やすくなってしまいます。

d.シメチジン内服:推奨度C1(小児例)
シメチジンはH2ブロッカーと呼ばれる、胃酸の分泌を抑える作用を持つ胃薬の一種です。その他にも細菌やウイルスを排除するヘルパーT1細胞の産生を促す作用や、腫瘍細胞を抑える作用もあるとされています。ただしこの治療法では、16歳以下の小児の治癒例が多かったことと、凍結治療法の方が有効性が高かったことから、小児で痛みをかなりの伴う凍結治療法を拒否する難治性のものに考慮するとされています。

※2:NK(ナチュラルキラー)細胞とは、体の免疫システムを担う白血球の一種で自然免疫に分類されます。主な役割として、いち早くウイルス感染細胞やがん感染細胞などを見つけ、攻撃する働きがあります。

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6.どのイボにどの治療法が有効なの?

(1)尋常性疣贅(通常イボ)の治療
大まかな治療手順(アルゴリズム)を記載すると以下の通りになります。ただし、前述通り、その方の症状や体質などにより治療法は大きく異なることがあります。
・角質除去+液体窒素凍結療法
   ↓効果がない場合
・角質除去+液体窒素凍結療法+サリチル酸+ヨクイニン
   ↓効果がない場合
接触免疫療法+ヨクイニン
・活性型VD3+サリチル酸+ヨクイニン
・電気凝固またはレーザー療法

(2)伝染性軟属腫(水イボ)の治療
少数で見た目が問題なかったり、気にならなければ自然治癒で問題ありません。ただし、アトピー性皮膚炎などをもっていると、もともと皮膚が荒れていたり引っかいて皮膚にキズができ、水イボが広がったり伝染性膿痂疹とびひ)の原因にもなったりします。意見が分かれるところですが、広がらないうち、多くても10個以上になる前に早めに対処するというのが主流のようです。
治療法としては、専用のピンセットでの除去

(3)尖圭コンジローマ(性器イボ)の治療
かゆみや痛みがないので放置しがちですが、そのままにしておくとどんどん大きくなったり、パートナーへの感染率を高めます。よって、早めの治療が推奨されています。また、原因ウイルスは体内から完全に排除できるわけではないため、再発の可能性はあります。
治療法としては、イミキモド(ベセルナクリーム)による薬物療法液体窒素凍結療法、電気メスやレーザーによる焼灼などが有効です。

(4)ウイルス性以外のイボ:脂漏性角化症(老人性イボ)や軟性線維腫(首イボ)の治療
ウイルスが原因でないイボであると、市販のイボコロリやスピール膏などのサリチル酸製剤およびヨクイニンなどは効果はありません。自覚症状が少なく伝染もしない、かつ悪性腫瘍でもないため放置しても良いですが、自然治癒せず美的観点から治療を望む方が多くおられます。治療法としては、凍結療法、外科的治療による切除、レーザー療法などがあります。

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7. イボについてのまとめ!

  • イボとは俗語であり、「皮膚から盛り上がっている良性腫瘍な小さなできもの」の総称のことを言う。
  • イボとタコやウオノメなど似ているできものとの違いは、長期的に圧力や接触が原因でできたか否か、また平たく盛り上がって痛みがないのがタコ、芯のようなものがあり歩いたりして圧力がかかると痛みがあるのがウオノメなどと、大まかに区別をつけることは可能である。
  • イボは主にウイルス性とそれ以外に大別され、ウイルス性以外のイボはうつることはない。ウイルス性イボには、一般的なイボの尋常性疣贅、水イボである伝染性軟属腫、特殊イボの一種で性器などにできやすい尖圭コンジローマなどがある。ウイルス性以外であると、老人性イボと呼ばれる脂漏性角化症、首イボとも呼ばれる軟属線維腫が出やすいイボとされている。
  • ウイルス性イボは、主には直接感染。公衆施設にて床やタオルなどを介し、水虫のように間接感染することもあり。また、ウイルスは健康な皮膚からは伝染せず、小さいながらも傷があるとそこから侵入し、不顕著感染し発症することがある。
  • 尋常性疣贅の現状特定の治療法が優先して推奨されることはなく、個々の体質や状態などをみて判断を行う。
    物理的治療として、現在最も広く活用されている液体窒素で焼く凍結療法、電気メスで焼く電気凝固、各種レーザーを当ててイボを取る方法などがある。
    化学的治療法には、貼り薬であるスピール膏などを用いるサリチル酸外用が最も使用され有効性が高い。
    薬理的治療法としては、スピール膏と併用し密封療法を行うとさらに効力を発揮する活性型ビタミンD3外用、細胞毒性によりイボを排除するブレオマイシン局所注入療法、角化細胞の異常増殖を防ぎかつ免疫系にも働くレチノイド製剤がある。
    免疫学的療法では、ハトムギ由来のヨクイニン、あえて人工物をアレルゲンとしたカブレを起こす接触免疫療法、尖圭コンジローマに適応のあるイミキモド、小児のみ有効性が高い胃酸分泌抑制薬のシメチジンなどさまざまなものがある。
  • 各種イボの治療方針として、
    尋常性疣贅では、角質除去をしながら、優先の高いものから液体窒素凍結、加えてサリチル酸やヨクイニン、効果がなければ接触免疫療法とヨクイニン併用、活性型ビタミンD3とサリチル酸およびヨクイニンの併用、電気凝固またはレーザー治療などを試していく。
    水イボ(伝染性軟属腫)では、自然治癒させるか早めの除去はかなり意見が分かれるところだが、放置するととびひの原因となったり悪化を防ぐためにも早めの受診が望ましいか。専用ピンセットでの除去が早く、他に液体窒素やヨクイニンなどを使用することもある。性器イボである尖圭コンジローマにはイミキモドの薬物療法、他に凍結療法やレーザーでも治療する。
    ウイルス性以外のイボである、老人性イボ(脂漏性角化症)や首イボ(軟性線維腫)では、凍結療法、外科的切除、レーザーによる治療がある。

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