spect1975のブログ

門前薬局で長期勤務歴のある薬剤師です。主には皮膚科関連に強みを持っています

漢方薬は食前か食間に飲むもの?漢方のホントウが分かる素朴なギモン

No.1 漢方薬はお腹が空いている時に飲まないと効かないの?

結論: 飲めるならば空腹時が理想ですが、忘れたり都合が悪い時は食後や気づいた時でも問題ありません。

 

薬局や病院で漢方薬を処方されると、「空腹時に飲んでください」と言われることがあります。しかし、食後に気づいた場合、どうしたらいいのか戸惑うようなことがあるのではないでしょうか。

 

まず、なぜ空腹時に漢方薬を服用する方が良いのか考えてみましょう。

 

漢方薬を構成している生薬の多くは、配糖体という形で糖と結びついた成分が含まれており、この配糖体は、通常の消化ではほとんど吸収されず、腸内の細菌によって変化することで吸収されやすくなり薬効を発揮します(このような成分は「プロドラッグ」と呼ばれています)

 

ですから、食事と一緒に漢方薬を服用すると、腸内の細菌(腸内フローラ)の影響でプロドラッグが本来の効能に変換されにくくなる可能性があります。そのため、効果を最大限に引き出すには、空腹時に服用するのが望ましいと言えます。ただし、食後に服用しても大きな効果の違いはないため、「飲まないよりも飲んだ方が良い」と結論づけられます。

 

つまり、食前に忘れた場合や空腹時に服用が難しい場合は、食後でも十分効果が期待できるので、気づいた時に服用するようにしましょう。

 

また、頓服で飲む漢方薬は食事に関係なくその都度すぐ服用しましょう。例としては、こむら返りに対する芍薬甘草湯がそれに当たります

 

ただし例外として、できる限り空腹時に服用した方が良い漢方薬もあります

それらの一例として、アルカロイドを主成分とする生薬が挙げられます。具体例としては麻黄のエフェドリン附子のアコニチンがそれに当たります

これらのアルカロイドには、胃の中のpHが高くなる(酸性からアルカリ性に傾く)ほど吸収が大きくなる特徴があります。さらに、動物に対して少量でも強い生理活性を示す特徴もあります。よって、それらを食後に摂るとエフェドリンであれば胃もたれや吐き気などの胃腸障害、アコニチンによる舌の痺れやのぼせなどの副作用が出やすくなってしまいます。よって、麻黄附子細辛湯などの風邪薬などは特に、空腹時を守って服用するべきです。

 

漢方薬の効果的な服用方法について考えてきましたが、最終的には自身の体調や日常生活に合わせて適切な方法を見つけることが重要です。正しい服用法を知ることで、漢方薬の効果を最大限に引き出し、健康的な生活に役立てましょう。健康的な毎日を送るために、共に学び、成長していきましょう。