第3回 ニキビの正しい対処法とは?ニキビの最新治療法を徹底解説
結論:まず正しく予防することが第一。治療としては、ニキビ症状の段階により使用する薬は大きく異なります。よって、一概にこれをしておけばOKだ、というものはありません。正しく現状を把握すること、それが分からなければ、早めに専門医に相談し対処することが重要です。
10代から20代の方、特に女性の肌における最大の悩みは、ニキビであると言われています。しかし、その多くは対処法を間違えていたり、適当に薬を購入して使用してしまい、治癒が遅れたりむしろ悪化する状態を作ってしまう場合もあります。
目次
2. アクネ菌は本当に害悪菌?(アクネ菌の本来の働きと性質についての説明)
3. スキンケアはどうするのがいいの?(正しいスキンケアとその重要性の説明)
4. 食生活やストレスもニキビに関係するの?(ニキビの悪化要因の説明)
1. ニキビの原因って何?
主には以下の3つが主要因となります:①皮脂の過剰分泌、②毛穴のつまり、③アクネ菌の増加です。
つきつめると、①と②が原因で③が悪化するとも言えます。よって複数のものが絡み合った状態であり、1つの原因を排除できれば、他のものも排除できる可能性もあります。
2. アクネ菌は本当に害悪菌?
本来アクネ菌は皮膚に必要な菌の一つであり、健康な皮膚の状態を維持する役割があります。しかし、過剰に増殖すると皮脂の分解を促し、炎症を引き起こすことがあります。したがって、アクネ菌の必要以上の増加を抑えることが重要です。
そこでアクネ菌の性質を知っておくと、より有効な対策を取りうることができるでしょう。
まず性質の一つとして、基本的に酸素が少ないところを好む、「通性嫌気性菌」であることです。逆に言えば、酸素にさえ触れさせてしまえば、過剰な増殖を防ぐことができます(②の予防)。女性であれば、夜疲れているからと言って、化粧を落とさず寝ることは厳禁です。
またアクネ菌は、上記通り皮脂をエサとして増殖します。よって①を防ぐことが重要になってきます。
3. スキンケアはどうするのがいいの?
適切なスキンケアはニキビ対策において非常に重要です。ただし、過剰な洗顔やピーリングなどの刺激が強いケアは逆効果になることもあります。皮脂を過剰に取り除くと、肌が乾燥して皮脂の分泌が促進され、結果としてニキビが悪化することがあります。ですから、洗浄力がやさしい洗顔料を使用し、過剰な刺激を避けることが大切です。また、保湿も欠かせません。適切な保湿をすることで、肌のバリア機能を保ち、ニキビの炎症を和らげる効果があります。
ゆえに、1日1〜2回の優しい洗顔後、すぐにしっかりとした保湿が理想です。
4. 食生活やストレスもニキビに関係するの?
食生活もニキビの改善に影響を与える要素の一つです。特に糖分や脂質の摂り過ぎは、皮脂の過剰分泌を促進し、ニキビを悪化させる可能性があります。ただし、必要以上に個々の食物の制限も、嗜好品の場合はストレスを溜める要因になり悪影響になる恐れもあります。ニキビの良いものを摂りすぎたり、悪いものを全く摂らないのではなく、バランスの取れた食事や野菜中心の食事を心がけるようにしよう。
また、ストレスとニキビの関係性についても触れておきたいと思います。ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂の分泌を促進することがあります。そのため、ストレスがたまりやすい生活を送っている場合、ニキビが悪化しやすくなることがあります。ストレスを溜め込まないように、適切なストレス管理を心がけることも、ニキビ対策に役立ちます。
次に、ニキビの症状による段階についてです。
ニキビの症状は、大まかに以下の4つの段階に分類されます。これを理解することで、適切な対処法や医療機関への相談のタイミングを判断するのに役立ちます。
① 白ニキビ:毛穴に皮脂が溜まり、白くブツッとしたものが見えます。
② 黒ニキビ:白ニキビが進行し、皮脂が毛穴に収まりきれず、空気に触れることで黒ずんだものが見えます。これを開放性粉瘤(開放面皰)と呼びます。
③ 赤ニキビ:黒ニキビが進行し、アクネ菌の影響を受け、赤く腫れます。
④ 黄ニキビ:ニキビの最終段階で、膿が溜まり、黄色く見えます。放置し続けると、皮膚の凹凸やクレーターが生じる可能性があります。
これらの段階を把握することで、適切なスキンケアや治療方法を選択し、ニキビの改善を図りやすくします。
ここから対処法についてです。
ニキビの症状に応じて、対処法が異なります。大まかに分けると、①と②では主に面皰が見られ、③以上では炎症が悪化している状態となります。
①と②の場合の対処法
これらの段階では、まだ症状が軽いため、正しい洗顔と保湿ケア、市販のニキビ治療外用薬で対処することが十分です。以下は細かい注意事項を記載します
洗顔の方法:適切な洗顔方法を説明しましょう。例えば、洗顔料を優しく泡立てて、肌をこすらずに洗うことが重要です。また、洗顔後は十分に水分を拭き取り、すぐに保湿剤を使用することを心がけましょう。
保湿の重要性:保湿はニキビ対策にも重要です。適切な保湿剤を選び、肌を乾燥させないようにしましょう。特にニキビ治療外用薬を使っている場合は、肌が乾燥しやすくなるので、保湿を欠かさないようにしましょう。
市販のニキビ治療外用薬の使い方:一般的な市販のニキビ治療外用薬(例: ベンゾイルホワイト)の使い方を説明しましょう。適量を指先に取り、洗顔ののちニキビがある部分に塗布し、患部に軽くなじませるように使用します。
自己治療のリスク: 過度な自己治療は肌を傷つけたり、症状を悪化させる可能性があります。そのため、市販の薬を使う際は注意が必要です。また、治らない場合や症状が悪化する場合は、専門家に相談することをお勧めします。
③と④の場合の対処法
炎症が悪化している場合は、ニキビが赤く腫れたり、痛みを伴うことがあります。また、ニキビが黄色く膿んだり、周囲の組織が破壊されることもあります。このような症状が見られる場合は、早めに皮膚科の医師に相談することが重要です。医師は適切な治療法を提案し、症状の改善をサポートしてくれます。
次に、クリニックなどで処方される代表的なニキビの薬について解説します。
⑴炎症がひどく、化膿も伴っている場合(急性炎症期)
a. 内服の抗生物質(テトラサイクリン系、マクロライド系、セフェム系など): 抗生物質は炎症を抑え、化膿を防ぎます。ただし、長期間や過剰使用は耐性菌の発生を促す可能性があるため、医師の指示に従って使用する必要があります。
b. 外用の抗生物質(ダラシン、アクアチムなど): ニキビの炎症を鎮め、皮膚表面の菌の増殖を抑える効果があります。外用薬は直接炎症部位に塗布することで効果を発揮します。内服同様に耐性菌の発生を抑えるため、最小限の使用を守り、患部のみの使用を守りましょう。
⑵ニキビのなり始めや、⑴が寛解し維持療法をしたい場合
a.ピーリング効果のある外用薬(ベピオ、ディフェリン、その合剤のエピデュオ):ピーリング効果のある外用薬は、古い角質を除去し、毛穴の詰まりを解消します。これにより、ニキビの発生を抑える効果が期待できます。
b. ビタミンB群、ビタミンC:ビタミンB群やビタミンCは、皮膚の健康をサポートし、ニキビの改善に役立ちます。特にビタミンB6やビタミンCは、皮脂の分泌を抑制する効果があります。
c. 漢方薬(排膿散及湯、清上防風湯、荊芥連翹湯など): 漢方薬は、体内のバランスを整え、ニキビの原因となる体内の不均衡を改善する効果があります。しかし、漢方薬は特に個人差が大きいため、専門医の指導のもとで使用する必要があります。
d.市販のニキビ外用薬:成分としてよく入っているものは、炎症を引き起こす遊離脂肪酸の産生を抑える「IPPN」、皮脂分泌を抑制する「イオウ」、広範囲の殺菌作用を持つ「IPMP」や活性酸素を除去する「ビタミンE」などです。多くの商品では、これらの成分で組み合わせ。ドラッグストアの薬剤師と相談し、自分の症状や肌質に合う薬を探せしましょう。もちろん抗生物質入りの薬など
・最も推奨されるペピオ・ディフェリン(その合剤のエピデュオ)
ニキビのガイドラインの中でも、最も推されているものはベピオやディフェリンです。その理由としては、長期使用しても比較的安心して使用でき、予防としても使い続けることができるからです。
まだニキビになる前の状態である微小面皰にも効果があります。また、ベピオとエピデュオにはアクネ菌に対し殺菌効果はありますが、抗生物質とは異なる作用をするため、耐性菌の心配もありません。よって、これらと保湿ケアが治療の基本と言っても良いでしょう。
・ピーリング効果のある薬は皮膚の刺激に注意
とても有効な⑵-aの薬ですが、もちろん弊害もあります。それは皮膚を薄くするために、外部からの刺激にとても敏感になり、刺激作用や発赤が強く出ることで、これはかなり高確率でなる恐れがあります。
対策としては、使用開始および再開時は使用量を少なく、かつ使用部位を小さくし、1週間くらいかけて徐々に常用量にしていくことです。また刺激症状などは次第に慣れてくるために、ひどくないようならば、使用量を減らして様子を見るのも手でしょう。
あと有効な対策として、ショートコンタクトセラピーがあります。これは入浴や洗顔の15分程度前に塗布し、入浴時などにしっかり洗い流す手法です。たった15分程度でも有効性は認められているため、副作用があるけどこれを続けたいと考えている人は試してみても良いでしょう。
またベピオ(エピデュオ)は漂白作用を持ち合わせています。よって、塗った部位には、なるべく寝具や衣服にはつかないように注意した方が良いです。
・体質に合えば漢方薬も特効性あり
冷え性の女性に対して、肥満がちな汗かきな男性に対してなど、各々の体質に合わせた漢方薬があります。それらを改善すれば、その漢方薬にニキビに適応の記載がなくても、かなり効果を示すこともあります。ただし、これはとても選出の判断が困難なため、必ず医師や薬剤師と相談して決めましょう。
・ニキビ痕は最適治療は現状難しい
現代の医療では、ニキビ跡を治す特効薬はありません。一番良い対策としては、予防し続けて悪化を防ぐことだけです。それでも少しでも跡があると、気になる方は多いと思われるため、いくつか例を挙げておきます。
(i)レーザー治療:ピコレーザー、炭酸レーザーなどがあります。
(ⅱ)ステロイド局所注射:肥厚性瘢痕に対して特に有効な治療法です。
(ⅲ)光線療法:赤みや色素沈着などのニキビ痕に対して特に有効です。
(ⅳ)漢方薬:柴苓湯・桂枝茯苓丸加薏苡仁などがあります。
いかがだったでしょうか。今まで何となく洗顔したり、市販の薬を使ったりして自ら悪化する行為をしていなかったでしょうか。少しニキビの原因や薬について理解すれば、見違えるほど良くなるかもしれません。これでいつも憂鬱だったニキビとおさらばしましょう。